自閉症の心理学 ~誰も理解者の居ない、孤独という苦しみ~
自閉症の人のこだわりは、どちらかと言うと性分的なこだわりであって
普通に言われるような性格的なこだわりではありません。
例えば計量カップなどで分量を計る時、分量を示す目盛りを目安に計量すると思いますが
カップの目盛りをよく見てみると、目盛りの線にも上下に太い事がわかります。
すると自閉症の人(こだわり)は、人に何ミリリットル計っといてと言われても
目盛りの上の線と下の線、どちらの線に合わせて計れば良いのかがわかりません。
もしくはちょうど真ん中に来るように合わせるのかと、そんな事にこだわるんです。
普通の人ならある程度目盛りの線まで達すればそんな細部まで気にして計りませんが
自閉症の程度によってはここがわからずいつまでも思案・模索していたり
早くしろと急かされたりなんかするとパニックに陥ってとんでもない行動を起こしたりしてしまいます。
ですから自閉症で言うこだわりは、こだわってるというよりは物事の程度や基準などが“わからない”だけなのです。
わからないから他人には挙動不審に見えたり気味が悪く思われたり
言動もどうしてもしんきくさいので他人をイライラさせてしまうのです。
普通の人でもいわゆる“面倒くさいヤツ”と言われるような人の言動がそれに当たります。
ただしこのこだわりこそが普通の人では気づけない事にも気づいたり出来ますし
自閉症の人には天才と言われる人が多く
そういった天才脳を持ってる人が自閉症の特徴を兼ね備えているのは今では疑う余地もありません。
しかし反面、これらこだわりは通常日常生活においては苦しみでしかなく
他の人と同じように社会生活を営むのにも支障をきたしてしまうのです。
だから自閉症の人もこの“こだわり”がなければ普通の人と同じで
自閉症自体が別段精神障害なのでも感情が欠落した無機質な人間なのでもありませんし
自分は自閉症とは無関係だと思っていると理解出来ない他人の言動にイライラするばかりで
つい辛く当たって自分の性格がキツくなってる事には気づけないかもしれませんね。
このように自閉症への理解を深めると、実は自分の心がどんどん豊かになっていきます。
今回述べたのは自閉症の特徴のほんの一部でしかありませんが
自閉症を理解するとは自分を理解するという事。
つまり自閉症の特徴こそ人間心理を理解する指針となり
人間関係や人生を豊かなものにする重要なファクターになるのかもしれません。