自分の思考のクセは、スマホの録音で1週間あればつかめる

小橋広市

小橋広市

テーマ:マインドセットの書き換え

その質問は、結局しないまま終わりました。
アイデア女性
会議の終わりに、司会が「何か質問はありますか」と全体に投げかけました。私の中には、確認しておきたいことがひとつありました。ところが、誰も手を挙げません。

数秒の沈黙が流れ、私は挙げかけた手を下ろしました。ここで自分だけ挙げると場を長引かせることになる。後で担当者に個別に聞けばいい。そう考えて、そのまま会議は終わりました。そして、その「後で」は来ませんでした。

担当者は別件で席を外し、翌日には別の案件が動き出し、私が確認したかった点は、決まったものとして先に進んでいきました。聞けなかったのではありません。聞かなかったのです。

あとから振り返ると、私が手を下ろした理由は「質問がなかったから」ではありませんでした。誰も挙げていなかったから、です。判断の材料が、自分の中ではなく周りにありました。

厄介なのは、その瞬間の私にまったく自覚がなかったことです。手を下ろしたときに感じていたのは、遠慮でも迷いでもなく、「賢明な判断をした」という納得でした。自分の行動を止めているものは、たいてい正しい顔をしてやってきます。

思いついた瞬間に、スマホへ録音する

こうした自分の傾向は、その場では見えません。「場を長引かせないための配慮」という、もっともらしい理由がすぐに用意されるからです。だから私は、記録を取ることにしました。

方法はひとつだけ。何かがあった瞬間に、スマホで録音します。歩きながらでも、エレベーターを待つ数十秒でも構いません。会議中や移動中など声を出せない場面では、同じ内容をスマホにメモします。道具はこれだけです。ノートも手帳も用意しません。取り出すのに手間がかかる道具は、続かないからです。

記録する内容は3つに絞ります。

  • 何が起きたか
  • そのとき自分がどう動いたか、あるいは動かなかったか
  • そのとき頭に浮かんだ理由

3つめが一番大切です。「場を長引かせたくなかった」「後で聞けばいい」という、自分に対する説明。ここに、その人のクセがそのまま出ます。そしてもうひとつ。必ずその場で残してください。

夜になってから思い出して書くと、内容が整えられてしまいます。自分に都合の悪い部分は削られ、筋の通った話に作り替えられる。整った話からは、クセは見えてきません。録音を勧めているのは、この点が理由です。話し言葉は、書き言葉ほどうまく整いません。言いよどみや言い訳がそのまま残ります。後で聞き返すと、少し気恥ずかしくなります。その気恥ずかしさが残っている記録ほど、役に立ちます。

1週間で、同じ形が浮かび上がる

続けてみると、変化は思ったより早く現れます。1週間ほど記録を溜めると、まったく別の出来事のはずなのに、同じ形が繰り返し現れていることに気づきます。私の場合は「周りが動かないと自分も動かない」と「後でやればいいと先送りする」の2つでした。会議の一件は、単発の判断ミスではなかったわけです。同じパターンが、場面を変えて何度も出ていただけでした。

そして、パターンが見えるようになると、次に同じ場面が来たときの感覚が変わります。手を下ろしかけた瞬間に「これはいつものやつだ」と気づける。気づけば、そのまま下ろすか、挙げるかを選べます。クセをなくす必要はありません。気づけるようになれば、それで十分です。

今日から1週間だけ、試してみてください。何か引っかかることがあったら、その場でスマホに向かって話す。それだけです。1週間後、あなたの手元には、あなた自身のパターンが残っているはずです。

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小橋広市
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小橋広市(講師)

一般社団法人Self&Lifeコンディショニング協会

なりたい自分になる勉強会やセミナーの開催及び、居心地が良い環境の中で、生きやすくなるための講座や相互交流ができる「心ホッとコミュ」というコミュニティを開放しています。

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