早朝の2時間は宝の山
部下の評価面談で、つい必要以上に厳しい言葉を選んでしまった。あるいは、自分の評価を守りたい一心で、本来は不要だったはずの細かい指示まで出してしまった。管理職の方からよく伺うのが、こうした「後から振り返ると、なぜあんな判断をしたのだろう」という場面です。
「埋めたい気持ち」が判断を狂わせる
私自身、かつて専門知識の異なるメンバーと働く中で、知識量の差に強い劣等感を抱いた時期がありました。劣等感を抱えると、自分でも気づかないうちにそのトーンが言動に出てしまいます。会議で必要以上に強く主張する。部下の意見を素直に受け止められない。これは、能力の問題ではなく、「劣等感を埋めたい」という気持ちが先に立ってしまっている状態です。
経営層・管理職の方の判断にも、同じ構造が隠れていることがあります。本当にチームのために必要な判断なのか、それとも自分の立場や評価を守るための判断なのか。この二つは、現場では驚くほど見分けがつきにくいものです。
ここで役立つのが、自分の判断を一歩離れた場所から見る「メタ認知」の視点です。判断を下す瞬間、自分も含めたその場面を少し離れて観てみる。すると、声のトーンが強くなっている自分、必要以上に細部にこだわっている自分が見えてきます。その一瞬の距離があるだけで、反応としての判断ではなく、選択としての判断ができるようになります。
ニーズとウォンツを分ける、たった一つの視点
判断や指示を出す前に、「これはチームにとって必要な対応(ニーズ)なのか、自分の気持ちを落ち着けるための対応(ウォンツ)なのか」を一度自分に問いかけてみてください。たとえば、部下への確認の連絡。本当に業務上必要な確認なのか、自分の不安を解消したいだけなのか。この違いに気づけるリーダーは、指示の量も質も自然と変わっていきます。
信頼を集めるリーダーは、感情に反応して動くのではなく、一度立ち止まり、必要な判断と自分の気持ちを切り分けてから動いています。その小さな見極めの積み重ねが、チームからの信頼として返ってくるのではないでしょうか。


