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左も右もあるもんか!―ただただ大事にしたい日本の伝統的価値観―(前編)

海江田博士

海江田博士

テーマ:政治経済について考える

今日の目次
ただただあっけにとられた
時代は左寄りの空気感
リベラルでなければカッコ悪い
当時の時代感覚としてあったのは
私の中で音を立てて崩れ始めた

ただただあっけにとられた

半世紀以上昔、私が小学生の頃の話になります。隣のクラス担任は、まだ若い女性の先生でした。今思い出してみると、彼女はどうも日教組に所属していたのではないかと思います。
どんな事情だったのか忘れましたが、私のクラスの担任(男性)が休んだことがありました。そのとき、隣のクラスの女先生が代わりを務めました。
ところがその女先生、ホームルームの時間に私の教室にやってきて、いきなり自衛隊批判を話し始めたのです。何の前ぶれも前置きもありませんでした。
こっちは、ただただあっけにとられるばかりでした。とにかくなんか怒ったような口調で、滔々と自衛隊批判を続けるのを黙って聴くしかなかったのです。
そのとき私は、「そうか、自衛隊ってそんなひどいものなんだ。」とも「なに、わけのわかんないこと言ってんだ、この人は。」とも思いませんでした。他のみんなもキョトンとしていたことでしょう。ただ、こうして今でも印象的に覚えているということは、子供ながらもかなり強く心に残ったからにほかなりません。

時代は左寄りの空気感

世の中のイデオロギー的な言説に対してはっきりと記憶にあるのは、このあたりからだと思います。その後、私は中学に上がり高校を経て、浪人を経験したあと大学生になりました。そのいわば青春時代、私たちの世代は、ずっと左翼的な時代背景というかそんな空気感の中で生きてきたのです。
私のちょっと上は団塊の世代になります。やや下火になっていたとはいえ、私の世代くらいまでは、まだ学生運動が盛んで、大学のキャンパス内だけでなく、若者の間では、ときの政治や体制側に対して批判的なポジションを取るのが当たり前といった世界でした。
当時、若者の間で天皇や皇室に敬意を払うとか自衛隊を支持するとかを日常会話の中で表明することなど、およそ考えられませんでした。そんな思想信条を表に出そうものなら、「お前は右翼か!」といったレッテルを貼られて罵倒されかねないほど時代は左寄りの空気感だったと記憶しています。

リベラルでなければカッコ悪い

ということは、もの心がついた10代初めくらいから、30代の社会人になるまでの若い頃の30年間くらいは、この左がかった時代感の中にどっぷりと浸かっていたことになります。この頃は、保守とか体制とかもっと言えばときの政治、政権とかに対して、大した思想的な根拠などないにもかかわらず、ひたすら反発や嫌悪感を抱いていたのです。
とはいえ、私はゴリゴリの左翼ということもなく、実にユルーい学生時代を過ごしていました。そんな立ち位置にいて完全な左派とかではなくても、とにかくリベラルでなければカッコ悪い、という雰囲気が世の中を支配していたのです。
ただ、そういった世界観は都会の、中でも学生を中心とした社会環境下での話であり、私の田舎を含む全国的な傾向としては、やはり自民党を軸とした保守政治が多数派を占めていました。当時、リベラルな若者たちと保守的な大人世代とのギャップは大きかったと思います。

当時の時代感覚としてあったのは

その他に、当時の時代の意識として、保守、革新に関係なく、世の中的に割とハッキリしていたのは、「自虐史観」と「欧米に対するコンプレックス」だったのではないか、というのが私の考えです。この二つについては、偏った歴史教育による自虐的歴史観や西欧への無条件の憧れといったものが、まだ根強く日本人の意識の中には残っていたからではないかと思います。
ただ、これらについては現在ではどうでしょうか?今の若い人の意識からは、既にかなり払拭されているのではないかと思っています。
自虐史観については、情報収集の方法が格段に発達した今、昔ながらの自虐的一辺倒な歴史観を持つ若い人は、もうそんなにいないのではないでしょうか。そう期待したいと思います。ほとんどの人が、隣国の押しつけがましくゆがんだ歴史観には、いい加減ウンザリしていることでしょう。
欧米コンプレックスというのは、別の言い方をすれば、「白人コンプレックス」といえるかも知れません。何にしても、昔はヨーロッパやアメリカに勝てるものがあるとは思えませんでした。政治にしても経済にしても文化にしてもすべて敵わないのだ、と思いこんでいたのです。この点に関しても、私たちより若い世代は、特にそんな価値観は持っていないのではないかと思います。

私の中で音を立てて崩れ始めた

さて、上記の2点にプラスして、冒頭書いたように左寄りの思想が若い世代の間では割と一般的でした。つまり、当時の教育にしても世相にしても、日本という国には、世界に向かって胸を張って誇れるようなものは何もないのだ、と思わされていたような気がします。
ところが、40代50代を経て60代にもなった頃、ようやくというか今さらというか、それまで、正しいとされ教えられてきた日本の現代史がかなり怪しいものであることが次第にわかってきました。ちゃんと歴史を振り返り、日本の文化をしっかり研究してみれば、我々が学んできた特に戦後の歴史認識がいかにデタラメなものであったのかが明るみになってきた気がします。
私や私に近い世代の人間たちが、どっぷりと浸かってきた左寄りの世界観みたいなものが、私の中で音を立てて崩れ始めたのです。それは、様々な情報や新しい知識を取り入れることで、かなりリアルな現代史の姿が認識できるようになったからにほかなりません。
さてここまでは、或る意味私が子供の頃から感じてきた時代感であり、それがようやく覆りつつある、ということの説明になります。いわば私なりの自分史です。実はここからが、今、本当に言いたいことになるのです。



机に向かって考える


つづく

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海江田博士
専門家

海江田博士(税理士)

税理士法人アリエス

税務相談はもちろんのこと、従来の税理士としての職務に留まらず経営者自身で革新できることを目指した支援を続けています。日本経済をしっかりと支えられる強い基盤を持った中小企業への第一歩のお手伝いをします。

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