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多くの経営者が勘違いしている一番肝心なこと―コミュ力不足とアウトプット力不足はよく似ている―

海江田博士

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テーマ:中小企業経営を考える

今日の目次
しばし、インプットを止めてみませんか
日本の経営者に圧倒的に足りなかったアウトプット
中学生の女の子に及ばない会話力
肝心なのはいかに顧客に届かせるか

しばし、インプットを止めてみませんか

現在取り組んでいる事業が思うようにいかないとき、経営者はどう考えるでしょう。真っ当な経営者であれば、まず「なにか自分に至らない点があるのではないか」と、考えるのではないでしょうか。自分の努力が足りない、仕事に対する情熱が不足している、スキルが未熟だ、知識が足りない、専門性が劣っている等々、原因を考え、何をすべきか悩むはずです。
もちろん経営者には大きな責任がありますので、そうやって悩むことは至極真っ当なことですし、あるべき姿だと思います。さて、そうやって悩み考えた末に、経営者はまず何に手をつけるのでしょうか。
私は真面目な日本人の特徴として、更なるインプットを目指す人が多いのではないか、と思います。多くの経営者が、現状の打開策を求めて新たなノウハウや情報、知識のインプットに取り組むはずです。
専門書やビジネス書を読んだり、セミナーに出席したり、講演テープを聞いたり、業界の会合で情報収集したり、インターネットで検索したりと、新しいインプットに取り組むのではないでしょうか。それは大事なことであり、あるべき姿勢だと思いますが、今回私はここで、あえて全く逆の提案をしたいのです。
「しばし、インプットを止めてみませんか。」と。

日本の経営者に圧倒的に足りなかったアウトプット

事業がうまくいかないとき経営者は、前述のように、これまでのやり方、考え方、知識、専門性などに欠陥があるか、レベルが低いかなのだろうと考え、それを解決するために、さらに新たな知識、ノウハウ、専門性などを学習しようとします。とはいえ、これまでそれなりに時間をかけてインプットしてきた知識、ノウハウ、専門性といったものは、そんなにレベルの低いものではなかったはずです。
私は、日本の経営者に足りなかったのはインプットではなく、圧倒的にアウトプットではないか、と考えています。今一番必要なのは、現在すでに持っている専門性や知識ノウハウを、いかにわかりやすく効率的に顧客に伝えていくか、ということなのです。
つまり、事業がうまくいかなくなったとき考えるべきは「何が足りないのか」ではなく「何をしていないのか」ということです。その、「していない何か」がまさにアウトプットです。業績向上に繋げるためのアウトプットが必要なのです。

中学生の女の子に及ばない会話力

これは、日本人の英語力のお話とよく似ています。日本人は英会話がうまくいかないのは、知っている単語の数が少ないからだ、と考えがちです。とっさに、的確な意味の英単語が思い出せない、出てこないから英会話がうまくいかないのだ、と考えます。(私などまさにそうでした。)
その結果、さらに英語を一生懸命勉強して、覚える単語の数を増やそうとします。しかし、よく言われることですが、日常の英会話に必要な単語は中学卒業程度で充分であり、それ以上の難しい語彙はそれほどいらないらしいのです。
英語の難しい論文など結構読み込めるレベルの大学院生が、英会話はたった3週間しかホームステイしたことのない中学生の女の子に及ばない、といった現象はよくあることです。こういった違いはどこから来るのでしょうか。
私は、それは人対人のコミュニケーションにどれだけ向き合ったか、によるのではないかと考えられます。つまり、どれだけ実際に英語でアウトプットしたか、によるところが大きいのです。研究室で向き合う難しい英単語よりも、コミュニケーションを図りながら使う簡単な英単語の方が、対人関係においては役に立つというわけです。

肝心なのはいかに顧客に届かせるか

これはビジネスにも言えることなのではないでしょうか。過剰な専門性や知識は、顧客にとってそれほど必要なものではなく、自分目線でどれだけのものやサービスが提供してもらえるのか、顧客はその内容を知りたいのです。先述の英語力の話でいえば、大学院レベルの難しい専門性よりも、普通の会話の中で得られる程度の知識で充分なのです。
これができるようになるためには、英会話でいえばコミュニケーション力、ビジネスでいえばアウトプット力が必要、ということになります。この二つ、いずれもそのベクトルが外に向かっているという点で一致しています。
内に向かうインプットだけにいくら磨きをかけても、収益に貢献するという意味では片手落ちと言わざるを得ません。やはり、直接、顧客が目にする耳にする、という場面にコミットしてこそビジネスの結果につながるのです。
日本の経営者にはアウトプットが圧倒的に足りないという事実。またビジネスを上向かせるための方法論が、英会話上達の方法論とよく似ている、という視点から、今回のコラムを書いてみました。
ただ、誤解しないでいただきたいのはインプットがどうでもいいということではありません。力の配分ということで、アウトプットへのそれが著しく欠けていたのではないか、という指摘です。
企業業績向上に必要な要素は、高度な知識や専門性だけではありません。それをどうやって顧客に届けるか、というアウトプット力にかかっているのです。


最近、こういうアウトプットが減ったなあ・・

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海江田博士
専門家

海江田博士(税理士)

税理士法人アリエス

税務相談はもちろんのこと、従来の税理士としての職務に留まらず経営者自身で革新できることを目指した支援を続けています。日本経済をしっかりと支えられる強い基盤を持った中小企業への第一歩のお手伝いをします。

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