涼しい顔して「OK」と言えるか―「もったい」をつけないのが男の力量―Ⅱ(おしまい)
何をやっているんだ、俺は!
本に囲まれて暮らす、という、昔夢想していた願ったり叶ったりの生活環境を手に入れた私。私にとって問題なのは、こうやって理想的とも言える環境を作り上げたにもかかわらず、現状、肝心の読書をあまりちゃんとやっていない、ということなのです。
せっかく、こんなに読書三昧に耽っていられる、という状況にありながら、今あんまり読書に時間を振り向けていません。繰り返しますが、私、現在の年齢71歳。残りの人生そんなに長くもないのに、「何をやっているんだ、俺は!」ということなのです。
飛行機の中という理想的読書空間
自分の読書生活を振り返ってみると、本を読むのに最も集中しているのは飛行機の中です。飛行機のフライト中は、特に何もすることがありません。
多くの人は眠っているけれど、普段あれほど寝るのが好きな私が、飛行機の中では熟睡できないのです。別に熟睡できなくてもウトウトでもいいじゃないか、とも思うのですが、どうせなら横になってくつろいで眠りたい、というのが私の欲望なのであります。あくまでも我が儘な奴なのです。
まあそれはともかくとして、鹿児島、東京往復の間にほぼ一冊は読み終わるので、飛行機の中というのは実に理想的な読書空間ということになります。だとすれば、本をもっと読みたかったら「飛行機の中の空間」みたいな状況を、日常的に作り上げればいいじゃないか、と考えました。
というわけで、若干その状況に近いのがカフェでの読書です。周りがガヤガヤと喧騒の中ではありますが、ときおり、そんな喧騒に気をとられたりしながらも、いや待て待て、と再び読書に集中する、というスタイルは、ちょっと飛行機の中にも似て悪くはないのです。
やることが多すぎて・・・
では何故、本来静かで最も理想的な環境のはずである書斎での読書というのは、前述の二つの場所に及ばないのでしょうか?この点について考えてみました。いろいろと理由はありそうです。
まず一つは、他の選択肢にもすぐに移れるということです。読書に取り掛かろうとする中、「あ、そういえば洗濯機を回さなくちゃ。」とか「アイロンかけなきゃいけないものが溜まっていたなあ。」とか「手間のかかる料理をやっちゃおうかなあ。」とか、いわゆる雑念がごちゃごちゃと頭の中を駆け巡るのです。
ん?ここで不思議に思われた方もいるのではないか、と思います。「それって、普通、奥さんにやってもらう仕事じゃないの?」と。まあ、男女平等が声高に叫ばれている世の中ですから、そんな風に決めつけるのはけしからん、とお叱りを受けるかも知れませんが。
雑念が入りやすい生活環境
私も一緒にと暮らしているときは、上記の家事の大半をカミさんにやってもらっていました。しかし、以前からこのブログにも書いていることですが、今、私は一人暮らしであります。家事のすべては、自分でやらなければ誰もやってくれはしません。(なんでそんな羽目に至ったのかは、以前のブログを読んでいただければと思います。あ、別に極めてシリアスな理由ということではありませんので、ご心配には及びません。)
まあ、というわけで、雑念が入りやすい生活環境そのものが、読書の邪魔をしているのです。雑念に振り回されなきゃいいじゃないか、という意見もあるでしょうが、椅子から立ち上がればいつでも他のことができる、という状況下においては、「あっちの用事を先に済ませた方がいいんじゃないか・・、いやこっちかな・・・」と、なかなか読書に集中できないのです。
縦に横に本が積まれております。
つづく