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フレッシュなマーケティング感性をいつまで持ち得るか―経営者の年齢とビジネス感覚―

海江田博士

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テーマ:経営について考える

私の変な習慣

以前、新聞を読むとき、毎度ついつい気にしている情報がありました。それは、様々な企業の新社長紹介の記事です。
新聞に載るくらいですから、ある程度の規模以上の企業ということになります。その会社の新社長の年齢が「何歳だろう?」というのが気になって仕方がなかったのです。
60代半ばくらいまでは、「俺より若いか年上か?」という一点について常に比べていました。こちらが60代も半ばになると、大抵新社長の年齢の方が若くなります。「まあそうだよなあ・・」と思いつつも、たまに私より年上の方が社長になっているのを見ると『おっ、この歳で新社長か。この人もがんばっているんだな。よし俺も・・』と、まあ勝手に自分の励みしていたようなところがあったのです。
この変な癖は、たぶん50代後半くらいから、自然に身に付いていたのではないかと思い出します。朝、新聞を見て「新社長が俺より年上なのか若いのか。」と、その年齢に目を凝らす。若いと「ちっ!」と舌打ちをし、年上だと少しホッとする、という実にくだらない、誰にも言えないような私独自の習慣でした。まあ、今になって、こうやって白状しているわけですが。ちなみに現在新聞は取っていません。経済記事などは、もっぱらネットで見ています。

経営トップが若返っている理由

さて今、すでに70も過ぎてしまい、そんなことをやっていても意味がない、と自覚しています。この年で新社長などまずいないからにほかなりません。
そもそも、60半ばを過ぎた頃から、新社長就任と同時に引退する旧社長の年齢の方が私に近くなってきました。それどころか、私より若くして退く旧社長も多く見かけるようになったのです。
若い世代の社長が就任するという傾向は、年々大きくなっているのではないでしょうか。ビジネスを巡る時代の変遷のスピードが極めて速く、しかもダイナミックさを増している現状では、社長の年齢も若くなければ、世の中の動きについていけないのかも知れません。

とっくに交替している年齢ですが・・

ところで私は、現在自分が経営している法人(「税理士法人」という少し特異な法人形態になりますが)のトップであります。巷の様々な企業では、とっくに次の世代と交替している年齢ということになります。
税理士法人の場合、そのトップには国家資格が必要という、ちょっと特殊な事情がありますので、その立場を誰とでも入れ替えるというわけにはいきません。とはいえ、時代の変化の大きな流れはこの業界にも激しく迫っています。
単なる専門知識の面だけではなく、こういった変化に感覚的にもついていけなくなったならば引退、或いは交替しなければならないでしょう。私の場合、ひたすらポジションにしがみついていたい、という気など毛頭ありませんので、そんな時期が来たら喜んで身を引くつもりでいます。
ただ、今のところ、現在所属しているこの組織については、このまま私が引っ張っていった方がよさそうであります。もちろん、それにはそれなりの理由があるのですが。

既得権だけではもう食えない

その理由というのは、今の組織でやることがまだまだありそうだから、ということであります。以前違う業界に身を置いていた立場から見ると、どうもこの業界は保守的に過ぎるように見えてならないのです。
この場合の「保守的」というのは、これまでの発想や考え方、習慣などをなかなか変えられない、ということを指しています。特に、私の所属している業界はそう思えてなりません。
前回述べたように、ビジネス社会そのものがダイナミックに変遷しているにもかかわらず、既得権にしがみつこうという傾向が透けて見えてならないのです。国家資格という高い壁に保護された特殊な業界ではありますが、これまでの既得権で未来永劫食えていけるほど甘くはない、と思っています。

マーケティング感覚の重要性

前述した「違う業界に所属していた」というのは、私の場合、「マーケティング」ということになります。30代から40代にかけて市場調査(マーケティングリサーチ)というビジネスを通じてマーケティングを生業(なりわい)にしていました。
言うまでもなく、マーケティングというのは未来を読む職業です。次に何が来るか、世の中のニーズはどう流れるのか、今後どんなサービスや商材が支持されるのか、といったことを相当真剣に追及していました。
こっちの業界に移ってもう随分になりますが、血気盛んだった頃、マーケティングビジネスで身に付いた職業上のものの見方というか、切り口の取り方というのは、今になってもなかなか抜けるものではありません。それどころか、私の場合、ますますマーケティング的な見方でビジネスを俯瞰するようになっているのです。
この感覚は、自社の若い人材にはまだ備わっていないように見えます。まあ、所属してきた業界がまるで異なるので、それは仕方のないことだとは思っていますが。

常に先回りの組織作り

といったような事情もあるので、もう少し、今の組織にとどまって、マーケティング的な視点によるこの業界の行く先を見ていくつもりです。業界的にもそういう先見的な目線が求められているのではないでしょうか。
もちろん見るだけでなく、具体的に必要な手立ても打っていかなければなりません。そうやって少し先回りするくらいの手を打って、組織作りを怠りなくやっていれば、やがて私がいなくなっても大丈夫という気もするからです。
冒頭、よその会社の社長の年齢が気になって仕方がなかった、と書きましたが、70を過ぎた今となっては、自分の年齢にしても他人の年齢にしても、気にしたところで仕方がないことも事実です。これまで培ってきたマーケティング的視点に曇りが出ないように、ひたすら世の中の動向を見定めながら、当面今の経営を続けていこうと思っている次第です。



ちょい悪マーケティングはまだ健在ですぜ

追記:いつも読んでいただきありがとうございます。
まあこの通り、いささかユニークな税理士です。
「こんなこと、相談しても大丈夫だろうか?」
といった、我々の専門外のお話についても、
構いませんので一度持ち込んでみてください。
普通、税理士が受けないようなご相談にも、
かなり幅広く対応いたします。
なにかしらヒントになるような
ご解答はお示しできると思います。
ご縁をいただければ幸いです。

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海江田博士
専門家

海江田博士(税理士)

税理士法人アリエス

税務相談はもちろんのこと、従来の税理士としての職務に留まらず経営者自身で革新できることを目指した支援を続けています。日本経済をしっかりと支えられる強い基盤を持った中小企業への第一歩のお手伝いをします。

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