根性が違う、100歳の経営者魂―店長を震え上がらせた祖母の営業トーク―Ⅰ
士気が上がらなくなるのでは
さて、ここまで「我々税理士は担当している企業の業績が思わしくないとき、まずは「経費削減」を提案することが多いのではないだろうか。しかし、こういった助言には、少なからず問題があるのではないか。」というのが私の反省点でもありました。
そもそも企業活動の中で、「経費削減」という命題だけが常態化してしまったら、士気など上がるわけがありません。社長を含めた社員みんなが、四六時中、どこを削ろう、何をやめようなどとばかり考えていたのでは、仕事に熱が入るはずもないのではないか、と思います。
仕事の醍醐味とは
人は、自分が取り組んでいる仕事が、昨日より今日、今日より明日へと伸びていくんだ、と思えるからこそやる気も元気も出るのではないでしょうか。自ら企画し、考え、工夫した商材やサービスを世に問うてみる。それがツボにはまれば、顧客による購入という支持につながり、ビジネスが良好な形で回っていく。これが健全な仕事の姿ではないのか、というのが私の考えるところです。
商材やサービスの質が悪ければ、或いは時代のニーズに合っていなければ「売れない、儲からない」という結果が待っています。そこでまた悩み考え、工夫をしてやり直す・・これを繰り返して、自分のビジネスのクオリティを上げていく、というのが仕事に向きあっている醍醐味というものだろうと思います。
残念ながら、「経費削減」という取り組みには、この醍醐味がありません。ポジティブに考え行動していくことで前進していく、という健全な企業活動のからは外れた試みに見えます。
面白くも楽しくもないじゃん
もちろん、業績が良い状態が続くと、ついつい冗費の流出ということに陥ってしまうのが人間の弱いところでもあります。企業活動の中に、そんな要素があれば、それは正していくのが当然の行為です。
しかし、必要以上に「経費削減」への取り組みが長く続くと、企業の体力そのものを奪ってしまいます。中でも、人件費の削減を大胆に実施して、人を減らし過ぎてしまったら、やや経済の状況が上向いて仕事が増え、業績を伸ばすチャンスが巡ってきても、それをものにするだけの人員が足りないということになりかねません。実際そういうことが起こっています。
というわけで、「経費削減」という手段は、即効性はあるものの、それだけに取り組み、あまり長く続けていると、全体の士気が下がるばかりか、企業の体力そのものを奪いかねないという危険性をはらんだ取り組みだと考えます。それになんといっても、面白くないし、楽しくありません。(かなり、個人的な感想ではありますが・・・)
さて、次の戦略は・・・
つづく