突破できるのか、業界の常識というハードル―業界の常識は世間の非常識？？―Ⅱ
はたして我々税理士は？
増税路線をひた歩むことで、国民の利益や気持ちとは相反しているのではないかと見える財務省。さて、財務省について、私が何故こんなことを書いたかというと、我々税理士はどうだろう？と思ったからです。
税務顧問として、担当している企業の業績が思わしくなく、赤字を出してしまい、何とか黒字化しなければという命題を突き付けられたとき、我々はどんな提案をするでしょうか。先述の財務省ではありませんが、まず「出を押さえる」というアドバイスをするのではないかと思います。
経費を抑えるための様々な手段
税理士の仕事について約30年の経験から言えば、顧客企業の業績が思わしくない場合、赤字幅を抑えるとか、なんとかトントンに持っていくのに手っ取り早いのは「経費を抑える」という提案でした。ここでいう「経費」は主に固定費のことを指しますから、抑えれば抑えた分だけ数字は改善します。つまり、結果がストレートに出るのが「経費を抑える」という手段ということになるのです。
ということで、具体的には、役員報酬の引き下げ、接待交際費の削減、広告宣伝費の見送り、人件費のカット、といったことを進言してきまし。少し踏み込んだところでは、福利厚生費を下げるために正社員の雇用をやめて、パートアルバイトの採用、或いは非正規雇用への切り替えによる人件費の削減といったことを提言してきたのです。
本当にそれでよかったのか
しかし、今振り返ってみれば、こういった提言は前述の財務省による歳出のカットと同じ発想なのではないか、と思い始めました。支出の削減というのは、国であれば国庫財政の健全化、民間企業であれば業績の黒字化を目指して行なう行為になります。
しかしそれは、多かれ少なかれ国や会社といった本体のどこかに、なんらかの無理をさせることになりかねません。本当にそれでよかったのでしょうか？
担当している企業の資金事情が既にかなりひっ迫している、という状況なら話は別ですが、まだ多少の余力はあるけれど、どうも近年業績が芳しくない、という程度であれば、やたら「経費の削減」という提案をするのは妥当性に欠けていたのではないのか、と最近、特にそう思うようになったのです。
我々は、もっと前向きの提言をするべきなのではなかったのか、というのが私の今の考えです。
逆張りの提案をすべきではなかったか
業績が思わしくなくなると、まずよく行なうのは、交際費を自重する、広告費を抑える、人件費をカットするといった提案です。しかし、これって逆じゃないのか、というのが私の考えるところなのです。
全く逆張りの提案をすべきではないでしょうか。
具体的には「社長、大いに交際費を使って営業活動に充てていかなきゃダメですよ。」とか「せっかくいい商材を持っているんだから、もっと広告費に予算を回したらどうですか。」とか「ただ人件費を削るだけでは士気にかかわります。ここは社員と一丸となって前向きに行きましょうよ。」とかといったアドバイスをするべきではないのか、と考えるようになりました。
もっと前向きに行きませんか。
つづく
追記：いつも読んでいただきありがとうございます。
まあこの通り、いささかユニークな税理士です。
「こんなこと、相談しても大丈夫だろうか？」
といった、我々の専門外のお話についても、
構いませんので一度持ち込んでみてください。
普通、税理士が受けないようなご相談にも、
かなり幅広く対応いたします。
なにかしらヒントになるような
ご解答はお示しできると思います。
ご縁をいただければ幸いです。
