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なぜ社長は熱心に情報収集をするのか?!?―それは「情報発信(アウトプット)」とペアでなければ意味がない―

海江田博士

海江田博士

テーマ:「情報発信(アウトプット)」戦略について

何から知識を習得するのか?

私の知り合いの社長さんたちの中には、「情報収集」に熱心な方たちが大勢いらっしゃいます。ここでいう「情報収集」とは、単なる知識のインプットとは少し意味が異なります。
社長ともなれば、ビジネス書を読んだり、テレビの経済番組を見たり、経済新聞、業界誌、ビジネス雑誌を読んだりと、知識の習得には余念がないことと思います。
一方で、商工会、法人会、といった自治体や役所などの公的機関となんらかの関係を持つ団体、倫理法人会、中小企業家同友会といった経営者の集まり、或いはライオンズクラブ、ロータリークラブといった理念や社会貢献を共有する団体、またそれぞれの業界団体等には参加されているものと思います。銀行やその他金融機関主催の経営者の集まりもあります。
これら様々あるいずれの団体にも全く所属していないという方は珍しいでしょう。おそらく、経営者ともなれば、これらのうちどれかには所属されているのではないでしょうか。中には2つ3つと掛け持ちされている方も多いと思います。


生(なま)情報の収集先は?

ところで、経営者の皆さんが、これらの団体のいずれかに所属なさるのは何故でしょうか。まあ「付き合いがあるから・・・」とか「仕方なく・・・」という方もいらっしゃるでしょうが、どちらかといえば、ちゃんと理由があっての参加だと思います。尚且つ、その理由も千差万別だろうとも思います。
そんな中で、皆さんがおっしゃる最も共通した理由の一つに「情報収集」のため、ということがあります。こういった場での「情報収集」は、先述した本や雑誌、新聞テレビなどからの知識習得とは少し意味合いが違います。
というのは、いろいろな生の声が聴けるこれらの場へ参加することは、単なる「知識習得」とは目的が異なっているからです。ここで交わされる情報は、お勉強としての知識や、マクロな経済の動きとか業界の新しい方向性といった、他者によって整理され系統立てられたものではありません。
経営者同士の、ちょっとした会話とか、雑談の中から細切れ、ぶつ切れの状態で得られる断片的な情報です。ただこれは、マスメディアなどのバイアスがかかった、いわゆる整理編集されたものではないので、極めて「生(なま)」に近い状態の情報ということになります。優れた経営者はこの玉石混合のぶつ切りの生情報の中から、自らの事業に反映できるような光るヒントを見つけ出すのではないでしょうか。


本当に情報収集なのか?

さて私が、皆さんがおっしゃる「情報収集」という言葉について、上記のような考察をあえて行なってみたのは何故でしょうか。どうして私が、わざわざこれらの団体に経営者が参加する理由を分析しようとするのかお分かりでしょうか。それは「情報収集」という言葉が、単に参加するための言い訳であったならば全く意味がないからです。
というのは、こういった団体の会務に夢中になるあまり、本業の方がおろそかになる人が私の周りにも結構多かったからに他なりません。本業の方は、役員や番頭さんなど他人(ひと)任せで、これまで述べてきたような会務に一生懸命、という人を何人も見てきました。
私は、これは経営者としての本筋からは、外れた行為だと思います。そういった本末転倒にならないためにも、こういった会の現場での「情報収集」という言葉がまやかしにならないよう気をつける必要があるのです。


収集した情報の活かし方

それでは、こういった現場で得られた生の情報を、単に名ばかりの「情報収集」に終わらせないためにはどうすればいいのでしょうか。何かいい方法はないものか、私なりにその答えを考えてみました。そして、結果としてその答えは、次の一点に絞られることに気がついたのです。
それは、「情報収集」に投じた同じ分のエネルギーを「情報発信(アウトプット)」に投じることです。「情報収集」を行なった結果、得られた生情報は、自身の中で咀嚼され加工され成形されて、やがて行動に移されなければ意味がありません。最終的に行動を伴ってこその「情報収集」だからです。しかし、行動に移すまでのこのプロセスには、膨大な時間とエネルギーを要します。
しかも、前述のように、最初に入ってきたときは細切れぶつ切れ状態の生情報です。うっかりすると記憶に定着しないまま、こぼれ落ちていく可能性があります。そうならないためにも、一度記憶にとどめておく作業が必要です。それを私は「情報発信(アウトプット)」という形で行なえばいい、と申し上げたいのです。


「情報収集」と「情報発信(アウトプット)」はペアで

「情報収集」の現場で得た生情報は、やがて自らの事業に応用するヒントにするつもりだったはずです。だとすれば、最初はボンヤリとした存在でしかないこれらの構想を、とりあえず、SNSなどを通じてアウトプットしてみてはどうでしょうか。
「今日面白い話を聞いたので、そこから私はこんなことを考えた・・」といった形でとにもかくにも発信してみるのです。そうすれば、それをまとめるプロセスで収集された情報が、頭の中で整理され、かなりしっかりと記憶に定着するはずです。それまで単なる着想にすぎなかったラフな構想が、少しまとまったものになるかも知れません。書かれた形で、記録に残るのも大きなメリットです。
「情報収集」というものが、会務にいそしむための単なる言い訳でないとしたら、それはほぼ同等に「情報発信(アウトプット)」とペアにできるはずです。経営者の「情報収集」は、それくらい意味のあるものでなければならない、と私は考えます。
時間や手間をかけた「情報収集」が、はたして意味のあるものだったのかを、自ら検証するためにも、それに呼応した「情報発信(アウトプット)」を是非心掛けてみて下さい。



みんなで情報収集

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海江田博士
専門家

海江田博士(税理士)

税理士法人アリエス

税務相談はもちろんのこと、従来の税理士としての職務に留まらず経営者自身で革新できることを目指した支援を続けています。日本経済をしっかりと支えられる強い基盤を持った中小企業への第一歩のお手伝いをします。

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