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攻めの経営の勧め―「守り」だけでは自社を発展させることはできない―

海江田博士

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テーマ:経営について考える

「攻めの一手」は「稼ぐための一手」


私が勧める「経営トップが自ら「情報発信(アウトプット)」することによって自社の販売促進に繋げていく」という手法は、企業経営における「攻め」の一手であることは間違いないところです。ただ、「攻めの営業」とか「攻めの売り込み」とかいった積極的かつ踏み込んだやり方とはちょっと異なりますので、一見攻めているようには見えないかも知れませんが、少なくとも「守り」の手段でないことだけは確かです。
「攻めの一手」というのは、もっと直接的でわかりやすい表現をすれば「稼ぐための一手」という言い方もできます。これは、一見俗な表現のように聞こえるかも知れません。しかしながら、そもそも「攻める」ことは「稼ぎ」に繋がらなければ何の意味もないので、当たり前といえば当たり前の話なのです。
ただ、「営業」とか「売り込み」といった直接的な行為ではなく、あくまでも販売促進に類する間接的なものであるために「攻め」の印象はやや薄いかも知れません。ソフトな攻めの一手と言ってもいいでしょう。


攻めの経営は未来をつかむ


ところで私は、これまで多くの中小企業の経営をサポートすることで学習させられた一つの結論があります。それは、
― 企業経営が窮地に陥った時の解決法にはいろいろな手が考えられる。その中で、なんとかして「攻めの一手」で乗り切ろうとチャレンジする経営者の企業は、窮地を乗り切った上で、さらなる成長発展を望むことができる。しかし、「守り」だけで切り抜けようとする経営者の企業は、窮地を脱することは難しく、その後成長することもない。―
というものです。
窮地に陥る、というところまで行かなくても、通常の経営状態であっても同じことが言えます。経営者は、常にどこかで攻めていないと事業の成長発展は望めないのです。


ズルズルと止まらなく「後退経営」


かつて私は「攻め」のマインドは、経営者であればほとんどの人が当然のように持っているものだ、と思い込んでいました。ところが、世の中には特に業績がマイナスに転じたときに「攻め」を考えるより「守り」に入る方を選ぶ経営者が意外に多いことに驚いたのです。
「守り」といっても、それがやがて「攻め」に転じるための一時的な撤退であれば問題ないと思います。しかし、これがずっと「守り」のマインドだけで通そうとした場合、「ここまでだったら安全圏」といえる段階で企業業績を維持することはできません。
「今は、後退はやむを得ない。まあ、これくらいまでは業績が下がっても仕方がない。」と、業績の着地点を設定して「守り」の策しか考えられない経営者は、やがてそのレベルにも留まれなくなります。ほとんどの場合、ジリジリとさらに後退させられて、やがて超えてはいけないレッドラインを超えてさらなる降下を続けることになるのです。


守りの経営では乗り切れない


「守りの経営」といえば、コストダウン、経費削減、リストラといった負の言葉が頭に浮かびます。特にリストラというのは、私は「守りの経営」の最悪のケースだと思っています。
とはいえ、今の企業経営においては、冗費を使えるほど余裕がある訳ではありません。余計な出費はできるだけ抑えるべきです。
そのための見直しや削減の実行は成されるべきであると私も思います。ただそれら「守り」の策だけでは、最後まで企業を維持発展させることはできない、と申し上げているのです。
こんな風に書いてきますと「資金繰りその他、もろもろの状況が厳しい中、なかなか攻めの経営に予算はつぎ込めないよ。」という声が聞こえてきそうです。中でも、販売促進の中の広告宣伝は先述のような直接的な営業や売り込みですらないので、「効果がいつ現れるのかわからないものにお金を割く訳にはいかないよ。」と、更に突っ込まれそうです。


「情報発信(アウトプット)」は効果的な「攻めの経営」


しかし、これは断言しますが、現代企業経営において広告宣伝は間違いなく必須の条件です。それは大企業に限らず、中小企業であっても、今外に向かって何もアピールしない企業は存在していないのと同じなのです。昔と違い、その重要性はより増しています。
ただ、これまで広告宣伝は、マスメディアがその媒体の中心であったため「高額である」ということがネックとなっていました。そのために、特に中小企業は、この方法を「攻め」の経営に積極的に取り入れることが難しかったのです。
私のお勧めする「経営トップによる効果的な「情報発信(アウトプット)」の継続」という手法は、この高額なコストの問題も解決できる方法論です。それは地方メディアやSNSを巧みにミックスさせて、お金をかけずに自社をアピールしていこうというものですから、「攻めの経営」を実践しつつ、「守り」もしっかりと押さえていることになります。
経営者の自主努力が必要なことと結果がでるまで少し時間がかかるという、やや低めの二つのハードルがあるものの、この方法は「攻めの経営」の一手として是非チャレンジしていただきたいのです。



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海江田博士
専門家

海江田博士(税理士)

税理士法人アリエス

税務相談はもちろんのこと、従来の税理士としての職務に留まらず経営者自身で革新できることを目指した支援を続けています。日本経済をしっかりと支えられる強い基盤を持った中小企業への第一歩のお手伝いをします。

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