青春の彷徨、新宿ゴールデン街―無頼に生きる、がテーマだったあの頃―Ⅰ
[別の情報が脳にインプットされていると・・]
ある日、いつものように仕事から帰り、自宅用の眼鏡をかけようと、書斎にある机の上のいつも置いてある場所の辺りに目をやったが、その眼鏡がありません。
これまでも、ときどきこんなことはありました。
ちなみに私は、もともとの近眼に後から老眼が入ってきたので、近くを見るときは近眼用の眼鏡をはずすだけで済んでいます。
つまり、老眼鏡というものはまだ持っていないのです。
それはそれでいいのですが、前述のように近くを見なければならない何かしらの事態(似たような靴下を見分けるとか、歯ブラシに歯磨き粉をつけるとか、インスタント食品のレシピを読むとか・・)が起きたとき、そこで外して置きっぱなしに忘れてしまうということが時々あったのです。
ま、そんなこともあるので、眼鏡を忘れそうな心当たりのある場所をざっと探して見てみました。
クローゼット、洗面所、台所・・どこにもありません。
一渡り見つけてみて、それでもないので
「やっぱり机の上じゃないのか。」
と再び書斎に戻って探して見ました。
というのは、人間はモノを捜すときに、何かしら別の情報が脳にインプットされていると、実際モノはそこにあるのに見つけられない、という現象が起こったりすると聞いていたからです。
例えば、青い表紙だ、と思い込んでいた本が、実は緑だったとします。
すると、探している本のタイトルは、初めからそこに表示されているにもかかわらず、何回同じところを見直してもその本に気が付かないらしいのです。
人間の脳の機能によって、そういった現象が起こる、ということは知っていました。
それにしても、今回は、いつもかけている眼鏡であります。
他のものとは間違いようがありません。
それでも、脳が錯覚を起こしたりしないように、しないように、と注意しながら机の上や周辺を見直してみたのです。
しかし、やっぱりありません。
これは仕事の時用。自宅用が見つからなくなったのです。
つづく
今日の川柳コーナー
◆眼鏡どこ? かけているのに 捜す俺
◆エアコンの リモコン押しても テレビつかん
テレビのリモコンでエアコンつけようとしたことも・・・