組織的に対応可能な事務所にしていく―どちらの土俵でどんな相撲を取るのか―Ⅷ(おしまい)
[税理士は随分と頼りになる存在に・・・]
新人時代、この仕事に対して、ネガティブな印象の洗礼を受けたのは、税務申告の部分だけを請け負う業務が中心だった時代の、顧客の感想だったのかも知れません。
その後、月々のチェック業務までを含むビジネスパートナーとしてのモデルに代わっていくちょうど過渡期だったのではないか、というのが私の分析であります。
さて、本来であれば、その時代から我々の職業意識も随分変わったものになっていなければならないと思います。
しかし、その点に関しては変わったなと思う部分と、私が昔原点として感じた部分がまだ相半ばしているなあ、という感想であります。
私は、税理士が仕方なく選ばれる立場のものであるならば、是が非でもそこから脱皮した存在になりたいと思っていました。
そのためには
「間違うと税務署が怖いから、あまり乗り気ではないけれど税理士にでも頼んでおくか・・」
と思われていたのでは、そんな存在にはなり得ません。
せっかく先輩方が「月次監査」という手法を編み出してくれたのだから、これを役立てない手はないのです。
月々監査するということは、その時点では直接決算とは関係がありません。
その顧客の期中の会計処理や財務状況を見ることになるのです。
これは、関与の仕方を工夫すれば、顧客の経営にタッチできる立場に身を置くことになります。
経営者は迷うことの多いポジションです。
経営のすべてとは言わなくても、せめて数字の部分だけでも、相談相手がいるのは心強いのではないでしょうか。
税理士事務所は、もっとこういった立場を強調するべきでなないか、と思います。
というのは、そう言う立場を意識し始めているということは、それほどまだ顧客側に伝わっていないからにほかなりません。
把握した数字データをもとに顧客の経営に資するとすれば、税理士は随分と頼りになる存在という点で支持されるだろうと思います。
そうすれば、私がこの職業の原点で感じた何とも言えない複雑な思いは随分払拭されるのではないでしょうか。
遠い昔を思い出して、そんなことを考えながら日々仕事に向き合っている現在なのです。
おしまい
今日の川柳コーナー
◆カミさんを 経理にしたのが 悔やまれる
領収書のチェックが厳しいなあ・・・
◆パソコンの データを見ては うなだれる
世の中、なかなか回復しないなあ・・