税務会計以外の経営相談は「向こうの土俵」―どちらの土俵でどんな相撲を取るのか―Ⅱ
[何故税理士に顧問を頼むのか]
大学を卒業した私は、新宿にある公認会計士事務所に就職しました。
そうやって、勤め始めてしばらく経った頃のお話です。
そのとき、最初に行かされた研修は「何故税理士に顧問を頼むのか」といった内容だったように記憶しています。
何といっても昔のことなので、細かいところまではっきりとは覚えていませんが・・・
とにかくそのとき講師は次のように説明していました。
税法というのは大変ややこしい、会計処理は間違った時のリスクが怖い、税務署との関係には難しいものがある、といった内容だったと覚えています。
そういった理由により、中小企業のオーナーは、どちらかといえば積極的というよりは、仕方なく税理士に顧問を頼むのである、といった説明でした。
そうすると、セミナーの終わりに会場からこんな質問が発せられました。
「税理士との信頼関係を築くことができれば、いろいろアドバイスとかもらえるから助かる、安心できる、だから顧問契約を結んでいる、といった意見はないのですか?」
と、質問者はこんなことを聞いてきたのです。
全くの新人だった私も心の中で
「そうだよなあ~、そこのところ聞きたいよなあ~・・・」
と思ったのを覚えています。
それに対する講師の答えは
「いや、そんな意見は聞いたことがありません。残念ながら進んで顧問契約を結びたいというお考えの経営者には会ったことはないです。」
といったものでした。
私は再び心の中で
「そうなのか。税理士との顧問契約は仕方なく嫌々結ぶものなんだ・・」
と、思ったのです。
まあ、このときの講師も講師だとは思います(私だったら絶対そんなことは言いません!)が、不幸なことにこれが、この仕事を始める原点、出発点になってしまったのです。
つづく