潜在的な世界を引き出し「未来の財務諸表」を作る―経営計画の策定作業は口述筆記に似ている―Ⅲ
[顧客の市場(マーケット)まで一緒になって意識できるのか]
ここまで書いてきましたように、会計の専門家である我々が行なう経営革新支援というのは、あくまでも間接的な支援方法ということになります。
経営者或いは社内に一度落とし込んで、あとは自分たちで考え自分たちで行動してもらう、といった手法を使うことにしているからです。
我々の専門性がかなり活かされているとはいえ、それが間接的なサポートであることに変わりはありません。
一方、コンサルタントの行なうコンサルティングは、すべてという訳ではありませんが、(財務諸表(決算書)を解説する「経営コンサルタント」という立場の人もいるので)具体的なアクションの考え方、起こし方までレクチャーするところにその特徴があるといえるのではないでしょうか。
時には現場サイドまで踏み込んで、直接スタッフにノウハウを落とし込むようなやり方を取ることもあると思います。
つまり、かなり直接的な支援方法ということになるのです。
両者の違いは、単に手法が違っているというだけではありません。
会計人の行なう支援のベクトルがほぼ社内という内側に向かっているのに対して、コンサルタントの行なうコンサルティングのベクトルは企業の外側、つまり、そのクライアントの想定する市場に向かってのものが多くなります。
スタンスにかなりの違いがあるのです。
それは一言でいえば、顧客の顧客、つまりお客さんが対象としているお客さんまで具体的に意識するかどうかの違いではないかと思います。
これは、そのお客さんにとっての市場(マーケット)まで、一緒になって意識できるかどうかということなのです。
顧客のマーケットはどこに?
つづく