目線を変えよう―考えかたと視点を変えなければなにも変わらないよ―Ⅰ
さて、では何故多くの2代目経営者は、変化に対して手をこまねいているのでしょうか。
これには大きく分けて2つの原因が考えられます。
一つは、変わらなければいけない、変わる必要がある、ということにはなっから気が付いていないというケースです。
手をこまねいているというよりは、気が付いていないのだから永久に変わりようがありません。
まあ、今やっている商売がうまくいっていなければ、そのことが自覚できていないはずがないのです。
しかし、だからといって「変わらなければ、なんとか変化しなければ・・・」というところへ思いが至らない後継者なのです。
― いい年になったので、まあそれが当たり前と思って親の商売を継いだ。で、これまた当たり前だろう、と何も考えないで、親の言う通りに昔ながらのやり方で商売を続けている。なんだかちっとも儲からないけど、ときどき親も資金援助はしてくれるし、こんなものかと続けている。―
と、もしこんな後継者がいたら、未来永劫彼の商売が上向くことはない、と断言できます。
これだけの状況にさらされていながら、「このままではまずい!」ということに気が付きもしないのであれば、おそらく彼は商売に向いていないのでしょう。
本当は勤め人になるなど、とにかく経営者以外の職業に就くべきだったのだろうと思います。
2代目経営者が、変化に対して手をこまねいているもう一つの原因は、
「変わらなければならないことは分かっているが、何をしたらいいのかわからない。」
というケースです。
まあ、変わることのできない後継者のほとんどは、このケースに当てはまるのではないか、と私は思っています。
その中で典型的なのが、
「新しい商材やサービスを思いついたのだが、それをどうやって売り込めばいいのかわからない。」
と、いうものです。
キャリアの浅い2代目とはいえ、その仕事を専門にある程度年数を重ねてくれば、新しい商材やこれまでなかったようなサービスについても学習は進んできます。
全く新しい企画やノウハウを0(ゼロ)から作り上げるような作業は確かに大変でしょうが、これまで取り扱っていた商材やサービスに新しいアイテムを加えることはそれほど難しい話ではないはずです。
普段、多少なりともこれまでの商売ではうまくいかないことを悩んでいれば、新しい商材や新しいサービスが必要なことは思いつきます。
専門家でもあるわけですから、その思いついた新規の商材やサービスが大外れということはまずあり得ません。
問題はその売り方がわからない、という点なのです。
昔からの商材であろうが新規の画期的な商材であろうが、その売り方のノウハウや広告宣伝のやり方は一切習ってきていないからです。
また、顧客の側から見ても、それがそれまで取り扱っていた商材と多少イメージの違うものであれば、そのことを知らしめてもらわなければわかりません。
普通、顧客はそれまでのイメージでしか、こちらの事業を見ていないからです。
というより、それ以前にそれまでやっていた本業にしても正確に顧客に伝わっているかどうかも怪しいものなのです。
ましてや、新しい商材やサービスであればなおのこと、こちらからそういった新規の取り組みを始めた、とお知らせしなければ、顧客が知る由もないといえましょう。
以前、私の事務所に司法書士の仕事と間違って訪ねてこられた顧客がいました。
丁寧にお話をお伺いして、その問題は司法書士の範疇であることを説明し、知り合いの司法書士を紹介して引き取ってもらいました。
私の仕事が、あまり明確には世間に伝わっていないのだな、と自覚した象徴的な出来事でありました。
尤も、この顧客の場合、その御相談の内容が、我々の業務にも全く関係のないお話でもなかったので、その後別の形で事務所のクライアントにはなってもらいましたが。
これは極端な例にしても、こちら側の業務内容が顧客に伝わっていないのはよくある話なのです。
ましてや新しいことにチャレンジしたとすれば、そのことをお知らせしなければまず顧客に伝わることはありません。
こんなことは、極めて基本的な話だと思うのですが、案外この基本ができていないのです。
金融機関だって変わるのです。以前行なったセミナーのチラシ。
つづく