私の仕事史「マイ チャレジング デイズ」―バブルを横目に、かくもエキサイティングな日々―Ⅰ
[とんでもないことを言い出したオヤジ]
ゴールデン街の飲み屋に突然やってきた、気持ちの悪い一人の男。
するとそ奴は、子供の話をし始めました。
どうやら5歳になった息子が可愛いらしいのです。(この男の見た目年齢からすると子供が小さすぎるが・・・はて?と、思ったのですが、話しかけると面倒なことになりそうなので黙っていました。)
携帯画面の写真をホラホラとママさんに見せているのです。
まあ、こういった酒場にフラリと顔を出す男の客というものは、普通カミさんや子供といった日常の憂さを忘れるためにやってくるのが相場です。
望まれもしないのに、幼い子供の写真ホラホラ、は、ルール上最悪に近いご法度と言えましょう。
その辺の了解事項も平気でバリバリと破ってくるこの男に、私も辟易しそうになっていたら、今度はこともあろうに
「恋っていいよね。皆さん、恋をしましょう。恋を。」
と、突然とんでもないことを言い始めたのです。
「僕は今恋をしてるんだ。うふふ」
・・・ムムッ、気持ち悪いぞ、お前!・・・
さすがに返す言葉も見つかりません。
恋って面(つら)じゃないのは先刻承知していましたが、もうこうなると、あまり関わりたくもないので、まともに見る気にもなれません。
「ああ、そう。よかったね。勝手にすれば。」
ママさんはすでに客扱いしていませんでした。
この店は昔から変わった客が多かったけれど、こんな気持ち悪いのはさすがに初めてだぞ・・・・と、心の中で叫んでいる私がいました。
酒場のカウンター。またまた横向きですみません<m(__)m>
つづく