青春の彷徨、新宿ゴールデン街―無頼に生きる、がテーマだったあの頃―Ⅰ
[50年通っている店]
今では外国人が行ってみたい東京の観光スポット、人気ナンバーワン「新宿のゴールデン街」に学生時代からもう50年近く通っている店があります。
ママさんはロシア語ペラペラの、気風(きっぷ)のいいインテリで大酒飲みです。
現在、鹿児島暮らしの身としてはめったに顔を出すことはなくなりましたが、先日上京した折、久しぶりにぶらっと寄ってみました。
客は私が口開けで誰もいませんでした。
しばらく昔話など交わしていた時に、その日の事件は起こったのです。
「事件」と評したくなるようなその男も、ゴールデン街のこの店に久しぶりにふらっとやって来たようでした。
チビデブハゲ、と「女性の敬遠3要素」(私はそうは思っていませんから・・・)を見事に3拍子取りそろえたその男は、入ってくるなりいきなり訳の分からない言葉を、少しナヨッとした甲高い声でしゃべり始めたのです。
どうもロシア語のような言葉でした。
どうやらその男はロシア語がやや堪能なようで、同じくロシア語OKのママさんに話しかけるのです。
なにやらロシアつながりで店のママとは知り合いのようでした。
困ったことに、時折私の方にも顔を向けてなんかしゃべりかけてくるのです。
狭い店内のことです。
話し相手をするのは、別にやぶさかではないのですが、そんなん(ロシア語)では、私にとって会話のきっかけにすらならないので困惑してしまいました。
この男、どこかよそで相当飲んでからやって来たようです。
とはいえ、そういうコミュニケーションルール無視の状況を創り出すような客が大嫌いなママさんは、始めっからウザったそうにしています。
ゴールデン街の路地。
横向きですみません<m(__)m>
つづく