我々税理士はどうなのか?―業界のあり方について考える―
[変化するお困りごと]
世の中の経営者が大いに儲かった時代、世間における「あそこの税理士は節税がうまいらしい。」という評判は、かつて結構効き目があったのです。
実際は、ちゃんと経理をしていれば納税額にそれほどの違いがあるはずもないのですが・・・
にもかかわらず、税理士=節税、という神話はかなり長く続いたと思います。
今でもそれは続いているのでしょうか。
しかし、このニーズは「なかなか利益が出ない世界」では低くならざるを得ません。
それは「税に関する専門性」と「売上を上げ利益を確保する専門性」とは明らかに異なるからです。
後者の専門性が強く求められる環境においては、かつて黙っていても儲かった時代と「お困りごと」のタイプが変化してしまったのです。
このように「税」という「お困りごと」のお困り度が、かつてに比べてそれほど高いものではなくなった、というのが、現在の経済社会の特長なのです。
「お困りごと」のタイプが異なってきた2つ目は、「税」以外の得意分野であった「記帳代行」のニーズが低くなりつつある、ということになります。
普通、事業を営んでいれば帳簿をつけます。
まあ、当たり前のことですが、「売り」がたったり「支払い」を済ませた時点で、帳簿をつけていなければ訳がわからなくなるからです。
それらの帳簿は、現金出納帳や手形帳、また売上台帳であったり仕入台帳であったりするわけで、事業規模の大小、業種などで様々な種類があります。
ところが、これらの帳簿を机の上に並べて百年眺めていても、事業全体の業績がわかるわけではありません。
これら、個別それぞれの帳簿から事業全体の業績を示す財務諸表を作り上げるには、専門的なアレンジ(主に「転記」という作業であるが)が必要だったのです。
お困りごとに悩む姿?ホント?
つづく