どこでやるのか、は大事?―考えてみよう、立地というブランド―Ⅰ
・先見性とプレゼンテーション能力
素人目線のマーケティング
ところで、マーケティングの観点から言えば、スティーブ・ジョブズはいわば進みすぎていた天才であり、消費者のニーズをコツコツと汲み上げるマーケティングなどとは一見無縁のようにも見えます。
自らの頭の中のオリジナリティーだけで、突っ走った天才であるかのようにも見えるのです。
しかし、決してそうではないことは、彼がスタッフに繰り返し指示する
「これ(PC)を使うのは決して我々のような専門家ではない。何もわからない素人だと思え。素人の消費者が触ってもすぐに理解し操作できるようなものを作るんだ。」
という言葉からも見てとれるのです。
彼は自分や仲間にとっては当り前の世界で、いとも簡単に思えることでも、消費者である素人、ましてやその中に含まれる子供や老人には難しいかも知れない、という想像力の働く人でもありました。
この点も、そういった想像力が働かない他のスタッフとは際立った違いだったのです。
これは我々のビジネスにも応用することができます。
こちらの提供する商材やサービスが、素人目線にはどう映るのか、その良さをすぐに理解できるのか、操作性は難しくないかなど、常に消費者の立場に立って想像してみる習慣は大切なのです。
突出したプレゼンテーション能力
また、彼は自分の頭の中で描いた未来形を、とても身近な魅力ある現実として一般消費者にプレゼンテーションできる天才でもありました。
舞台上で新製品を紹介する彼の語り口やちょっとした動作など、プレゼンテーションの巧みさがいかに素晴らしいか、その後似たようなスタイルがプレゼンのスタンダードになったことでも証明されるのではないでしょうか。
この点も一般的なビジネスにも応用することができます。
それは、売り込みたい商品やサービスには、それに相応しいプレゼンテーションの方法が欠かせないということになります。
いかに優れた商品やサービスであっても、それを魅力的に知らしめなければ、消費者の財布を開くことはできません。
つまり、売りたい商品やサービスとそれを知らしめる販売促進(セールスプロモーション)とは一体ということになります。
この点を常に忘れてはいけません。
そのほか、売り込む際の交渉能力とか、なぜ他社と同じ土俵で戦ってはならないのか、とかビジネスにおいて参考になるところはいくらでもありました。
また、会社が安定期に入ってからの経営の躓きなど反面教師としての見どころもあります。
この映画、経営者は自らのビジネスの勉強材料として是非見てもらいたいと思います。
ジョブズを意識してプレゼン中?? まさか!!