世の中の業界のあり方について根本から考える―我々税理士の世界はどうなのだろうか?―Ⅳ
それではなぜ、私の事務所では、本来別料金として請求すべきであろう特別サービスを標準サービスの中にあえて含めてしまったのでしょうか?
それは前述しました、会計人業界と顧客とのまことに不幸な「すくんだ状態」を、こちら側からぶち破っていきたかったからにほかなりません。
「経理なんてちょろちょろっとでいいからできるだけ安くやってよ。」
という顧客と
「どうせ値上げなんてできないんだからとにかくコストを下げなくっちゃ。」
と思う会計人。
といった不毛な思惑の組み合わせがここにはあります。
こんな土俵には参加したくもないし、同調する気にもなれません。
お互いの中に、もっと建設的な関係を築きたいと思うとしたら、どちらかが建設的な提案を行なわなければならないのはいうまでもありません。
ただ、おそらく、このまま黙っていたならば、顧客の側から会計人に対して建設的な意見の表明はないだろう、と私は判断したのです。
それは顧客の側が悪いのではなく、長年、
「建設的なサービスをやろうと思えば実はできるんだ。」
ということを、こちら側が表明してこなかったからでもあります。
それどころかいまだに
「そんなものは我々の仕事ではない!」
と、私が表明しているサービスに激しく抵抗感を持つ会計人も多いのです。
建設的なサービスを考える。
つづく