常識破りの功罪Ⅱ
20年以上税理士として仕事を重ねながら、若い経営者と話をしていると「ある悩み」を抱えている人が結構多いことに気が付きました。
それは
「親の世代が財布のひもを離さない。」
という悩みです。
つまり経理の権限を先代社長かその奥さん、つまり今の社長からすれば「親父やお袋」がなかなか離そうとしない、というケースです。
これは結構頻繁に遭遇する事業承継上の問題でした。
かくいう私もこれについては経験し、かなり苦労もしました。
10年ほど昔の話ですが、事務所の事実上の実権が私に移ったとき、当然のことですが、経理上の処理や決裁権も任せてもらわなければ、経営がやりにくいことこの上ないのは分かっていました。
しかし、当時トップであった父よりも、実務上での金銭の決裁権を握っていた母が抵抗したのです。
「冗談じゃない! いったいあなたは何を考えているの。」
大変な剣幕だったことは今でも覚えています。
ま、そのことは予想がついていたので、
「私も現金には一切触れない、触れるつもりもない。すべて信頼のおける第3者である経理担当者に実務上の処理はやってもらう。チェックだけは私も見るし、親父とお袋も必ず通す。」
という条件を出したのです。
つづく