お洒落黎明期・・・DCブームの時代―僕たちは確かにバブルの喧噪の中にいた―Ⅲ
ま、そんな地元事情だったので、私と家内は海辺のドライブの際にも、仕方なく時々海岸端の食堂や民宿みたいなところで『磯もの定食』かなんか食べながらお茶を濁していたのです。
ところが、地元の海沿いのドライブでなかなか素晴らしいカフェを見つけたのです。
実は以前仕事で同じ道を走った時に、ちょっと気になるレンガの塀があるなあ、とは思っていました。
近くに住むクライアントさんにここのことを聞いたら、「なかなかしゃれた店らしいよ。」と教えてくれたので、今回家内と行ってみたのです。
おそらく輸入物と思われるレンガを壁と床面に敷き詰めた、中庭風の駐車場に車を止めて、開放的な建物の中に入ってみると、なるほどそこは本当におしゃれな空間でした。
お客も多くなかなかの盛況なようです。
入口の大きな扉も開け放ってあったが、海に望むテラスもすべて開放されていました。
建物の中にいながらオープンテラスのようでもあります。
つまり、エアコンの効く状態ではありません。
実際エアコンは使っていませんでした。
また、テラスの半分近くプールのように水が張ってあって、その水際が水平線と目線が一体になるよう設計されています。
雰囲気は抜群です。
こりゃあいい店を見つけたぜ!、と喜びました。
しかし残念ながらこの日は、それらのメリットをすべて帳消しにしても余りあるデメリットがあったのです。
チョー、暑かったのであります。
この日はおそらく1年でも最も暑い日、35℃くらいはあったでしょうか。
日のあたる場所はもっと暑かったかもしれません。
オープンエアに吹く海風も潮気を含んだ熱風で、とても心地よいとは言えないものでした。
家内と私は、テラスから少しだけ中に入った席に座り、イタリア風かき氷(?)を頼みました。
普通、冷房の効いた部屋でかき氷を食べると、食べ終わる頃には身体が冷え切ってしまうものですが、この日はすべて食べ尽くしてもまだ汗が止まりません。
心なしか従業員の若者たちも、あまりの暑さにヘタリきっているように見えました。
雰囲気をキープするために頑張っているのでしょうが、人間の耐えきれる限度をこの日の暑さは超えているように思えました。
夏はまだまだ続きます。
当分、この暑さでは彼らもつらかろう、と、同情せざるを得ませんでした。
暑さに喘ぐ従業員を横目で見て
「おそらくオーナーの主張で、この雰囲気を保とうと踏ん張っているのだろうね。」
と家内と話したのであります。
つづく