青春の彷徨、新宿ゴールデン街―無頼に生きる、がテーマだったあの頃―Ⅰ
さて、私はこのK女史との間にとても過激な思い出があるのです。
これから書くことは、税理士という社会的には比較的お堅いと思われている職業人にはあるまじき行為だったかもしれないので、できるだけサラリと済まそうと思います。(と言っても税理士になる遥か前、40年も昔のことではありますが。)
読んだら忘れてくださ。
ある年の夏休み、東京の大学生になっていた私は、帰郷しいつものようにK女史の店を訪ねました。
そうすると、K女史はやはりいつものように大歓迎で紅茶をいれてくれたのです。
そして
K女史「あら、なんだか元気がないわねー。何かあったの?」
と訊ねてきました。
実は私は夏休み前、それまで付き合っていた同じ大学の女の子にこっぴどく振られていたのです。
ま、そこいらのいきさつはいろいろあったのですが、とにかく私は失意のどん底にいました。
私は正直に
私 「はあ、実は付き合っていた女の子に振られまして…」
と、まず打ち明けました。
K女史「あらそうだったの。それはつらいわね。で、どういうことだったの?」
と、更に聞いてきます。
私はこの間の経緯などをいろいろと話しました。
彼女はひと通り私の話を聞いた後、
K女史「で、あなたとしてはどうしたいの?」
とズバリ質問してきました。
私は「どうしたい。」というのは別に具体的に考えていなかったので、この問いには少し戸惑いました。
とはいえ、思うところは多々あったので
私 「なんか納得がいってないんですよね。できれば、もう一度彼女と話したい。というか、本当はもう一度取り返したい。」
とまあ、正直なところを打ち明けたのです。
つづく