変革と向き合うということⅠ
もう15年くらい昔の話になりますが、ある審議会でご一緒していた中小企業診断士の先生(私より少し年上でした)に、
「海江田さん、世間ではインターネットインターネットと騒いで、ネット販売やネットビジネスがこれから大きな産業になるみたいなこと言っているが、あんなものどれくらいのパーセントで成立するか知っているかね。1000件に1件あるかないかなんだよ。」
と言われたことがありました。
つまりネットビジネスは効率が悪すぎて大した産業にはならない、と言いたかったようなのです。
1000件に1件とは1000アクセスあって1件の購買が成立するという意味だったのでしょう。
しかしながら、その後のインターネットの発達とネットビジネスの巨大化はご存じのとおりです。
ここで私が思うのはどんな新しいビジネスにも、否もっと広げてどんな新しい試みにも当初必ず抵抗勢力はある、ということなのです。
中小企業診断士のようにある程度専門的に勉強している人にもこんな勢力は存在するのです。
経営者の中には、新しい試みに何故自分はチャレンジしないのか、きっちりとした理屈を述べてくる社長もいます。
「ネガティブな方向性だな」と思いつつも理由をよく聞いてみると、チャレンジしない方がいい、と専門家から勉強会で聞いてきた、というのです。
「専門家がブレーキをかける?…」
私は初め何でこんなことが起こるのか不思議で仕方がありませんでした。
私は専門的かつ先端の情報なり知識を仕入れたらできるだけ早く経営者に伝えることにしています。
しかし、ブレーキをかける側の専門家には、こういう風に言ってあげることで、経営者を少し安心させるタイプの人もいるらしい、と後で知りました。
「頑張り続けるのも大変だろう。無理せんでもいいよ。」という訳です。
これが結構受けがいいようなのでちょっと驚かされました。
もちろんこんな理屈はまやかしです。
これだけ技術革新の進歩がダイナミックな世の中に、それを無視してビジネスが成り立つわけがありません。
走り続けるのが辛いのは承知の上ですが、どうあれ経営を続ける限りこれらと向き合うほかはないのです。
つづく