青春の彷徨、新宿ゴールデン街―無頼に生きる、がテーマだったあの頃―Ⅰ
「で、我々に依頼されたいというのは何でしょうか?」
気を取り直して、やっと仕事の話に入ります。
するとSさんは
「このリゾート施設の総建設費用は1000億円を予定しています。
実はそのうちの600億円はリゾート会員権を販売して回収したいと思っています。
ついては、このリゾートホテル300室の利用権を1室2億円の会員権で販売することを計画しました。
会員権は法人会員権を予定しています。
御社に依頼したいのは、果たして2億円の会員権に需要があるかどうかリサーチをしてもらいたいのです。」・・・・・・
瞬間的に私の中で
『そ、そんな!いくら世の中バブルで浮かれてるからと言って、1室2億円の会員権が売れる訳ないじゃん。
しかも所有権じゃなくて利用権だろう。無理に決まっているよ。』
との思いがよぎりました。
しかし、S氏は静かに言葉を続けます。
「2億円というのが途方もない金額であることは承知しています。
ただ、これは我々T電力とK建設のジョイントベンチャー(JV)です。
そこいらのリゾート開発とはまるで信用力が違います。
上場企業クラスであれば2億円出すところもあるのではないでしょうか。
その事前調査を行ないたいのです。」
『ううっ・・・説得力のあるようなないような・・・で、どうしろというんだろう?』
頭の中は、まだやや混乱気味です。
つづく