したたかな人生、祖母の思ひ出―この人だけは敵に回したくないと思わせる人―Ⅰ
【謝罪、交渉、軟化】
私は、資金の手当てと版権会社との交渉を担当しました。
その後も何回か版権会社に呼び出されたので
「自分たちは地道なマーケティングリサーチの会社であること、すべて我々が責任を取るので、なんとかN屋さんに迷惑がかからないようにできないだろうか」
といったことを懸命に説明し交渉しました。
そうすると先方(版権会社)は少し驚いた様子でした。
というのはこういったキャラクターの無断使用のケースでは、たいてい間に入った会社はいい加減なところが多く、トラブルになると、蜘蛛の子を蹴散らすようにいなくなってしまって、その後の追跡すらままならないことが多いのだそうです。
事実、グッズを作った会社とはずっと連絡が取れませんでした。
私たちは、吹けば飛ぶような会社のくせに、天下のN屋さんを必死で守ろうとしているのが滑稽でもあり、少しは見直す気になったのでしょうか、先方の態度が幾分和らいできました。
【温情裁定】
結局いろいろな交渉の末、
「とりあえずキャンペーンは最後まで続けてよし、N屋さんにはペナルティーなし」
の線で落ち着きました。
「但し損害賠償は後ほど計算をした上で連絡します」・・・
結果、損害賠償はかなり痛かったとはいえ何とか払える金額でした。
最後にその敏腕の女性弁護士に呼び出されて、
「今回は貴社の対応を一応評価して穏便に済ませました。今後はこの教訓を活かしてきちんとした仕事をするように心掛けてください。それから、しばらくの間貴社への監視は怠りませんからね。」
と諭されました。
最初のものすごくおっかない雰囲気とは一変してとても穏やかな感じで、よく見るときりっとしたなかなかの美人でした。(ま、どうでもいいことですが・・・)
つづく