私の仕事史「マイ チャレジング デイズ」―バブルを横目に、かくもエキサイティングな日々―Ⅰ
【事件勃発:好事魔多し】
さて店頭でのキャンペーンが始まって1週間くらいした時です。
会社に1本の電話がかかってきました。
それは、知らない女性弁護士からのものでした。
「そちらの会社は肉まんのキャンペーンおいて重大な肖像権侵害を犯しています。直ちにキャンペーンを中止してこちらまで出頭しなさい。」
というものでした。
何が何だか訳が分からず、幹部社員二人でその女性弁護士が指定した青山にあるビルを訪ねました。
そこにあったのは、外資系の企業で、おもにキャラクターの版権だけを取り扱う会社でした。
その会社の女性社長と顧問であるくだんの電話をかけてきた女性弁護士が待ち構えていたのです。
おたつく私たち二人に向かって、いかにも切れ者といった感じの女性弁護士から
「我々は、今回そちらがキャンペーンに使用しているキャラクター「G」の版権を持つ日本法人である。キャラクターである「G」については、日本においてまだその版権の使用許可はどこにも与えていない。今回のキャンペーンは重大な違反に当たるので、その即刻中止と損害賠償を求めるものである。賠償金額は後日通告する。」
とビシッと告げられました。
【全社員で危機対処】
ぐうの音も出ずによろよろと会社に帰りましたが、ただがっくりもしていられません。
それから社員全員で善後策を立てました。
まず
「クライアントであるN屋さんには絶対迷惑はかけられない。」
ということを確認しました。
それから、
版権を持っていると嘘を言ったグッズ会社の責任をはっきりさせよう、
損害賠償の件があるから資金を確保しておこう、
引き続き例の外資系版権会社とは交渉していこう、
といった幾つかのポイントを確認して、それぞれ社員全員で分担することにしました。
つづく