いじめ撲滅へ「ピンク・シャツデー」運動
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世界70カ国以上に広まる「ピンク・シャツデー」
「ピンク・シャツデー」というのを知っていますか?その発端は、2007年にカナダの高校で、ある男子生徒がピンクのシャツを着て登校したところ、いじめにあったことに由来しています。その後、二人の高校生が抗議を示すためにピンクのシャツを着て登校し、それがいじめに立ち向かう連帯を象徴する行動として、2008年より2月の最終水曜日にピンクのシャツを着る運動が始まったものです。
今ではカナダのみならず、米国や英国など世界70カ国以上に動きが広まり、日本でも2011年から、小説家で詩人の中園直樹さんがその普及に取り組んでいます。
「社会がいじめを絶対許容しない」をはっきり行動で示す
このように、いじめ撲滅の草の根の運動がカナダで始まり、世界の多くの国に広がったことに驚いた人もいるかもしれません。というのは、いじめは極めて日本的な現象というとらえ方があるからです。しかし実際には、いじめは各国共通の問題であることがこの運動の広がりからわかります。
この運動の背景にあるのは、「社会がいじめを絶対許容しない」という姿勢をはっきり行動で示す、ということです。いわゆる「ゼロ・トレランス(許容)」の考え方です。これは、従来、いじめは成長の過程での一種の「通過儀礼」として許容的にとらえられていた見方や、いじめは「いじめられる側(被害者)にも非がある」とする見方と訣別するものです。
いじめの根本的な解決は、多様な存在を受け入れる社会を作ること
ピンク・シャツデーの動きは、いじめを学校にとどまらず広く社会全体の問題として取り組む姿勢を明確にしています。これは、「いじめられる者」と「いじめる者」との当事者の関係にばかり焦点が当てられたことに対する新しい動きといえます。もちろん、いじめの問題の解決には、その当事者である被害者と加害者の個別的な要因(性格や親のしつけの問題など)に対応することが大切なことはいうまでもありません。しかし、それだけでなく、当事者を取り巻く環境要因も無視はできません。
アメリカ心理学会は、いじめについての研究を概観し、いじめ発生の大きな要因として、所属する集団(ピアグループ)の中で「外れて」異質であると認識することを挙げています。例えば、心身のハンディキャップがあること、肥満などです。そして、その対策として、違いを受け入れる態度を教育すること、複数の社会的な価値観を持つよう指導することを挙げています。いじめの根本的な解決は、結局は、他人に迷惑をかけない限りにおいて多様な存在を受け入れる社会を作り上げていくことだと思います。
心理相談・カウンセリングのスペシャリスト
村田晃さん(うつ心理相談センター東京)
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