「病む先生」10年で3倍、防御策は?
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統計上の増加は、精神疾患に対する理解の深まりの証
「教員の精神疾患が10年間で約3倍」というショッキングな統計。これをどのように見るかについて考えてみます。ちなみにこの統計の出典は、文部科学省による「教職員のメンタルヘルス対策について」の報告書にある「公立学校在職者に占める精神疾患による病気休職者の割合」からです。
私自身は、この精神疾患の増加は一面で意味あることだと考えています。その理由は、従来、社会的な偏見から表面化しにくかった精神疾患が社会的な認知を得て、その結果、「積極的に医療機関を受診するようになったことを反映している」とも言えるからです。
また、精神疾患の増加は、教員特有の現象かどうかも分析の必要があります。前述の文科省の報告書によると、他の地方・国家公務員にも、精神疾患による病気休職者の割合の増加傾向が見られるとのこと。また、民間企業の会社員との比較データは示されていません。
近年の精神疾患の増加は、何も公立学校教員だけの現象ではなく、働く人全般に見られる現象でしょう。さらに言うと、民間企業に勤務する人の中には、教員よりも深刻な事態も少なからず存在するのではないでしょうか。なぜなら、公立学校教員は公務員として身分が安定し、また、給与水準や病気休職などの体制も民間企業勤務者に比べて一般的に優遇されていると考えられる上での精神疾患の増加だからです。
教員固有の問題に対応する精神疾患の防止策
教員独自の問題点としては、文科省の報告書では、残業など業務の量的増加や、生徒指導や保護者との関係など業務の質的困難化、また、教員集団の構造的な特徴(企業に比べ管理職が少ない組織であることから、ラインによる対応の難しさ)などが挙げられています。
教員個々人でできる自己管理の一つとしては、いわゆる「燃え尽き症候群(バーンアウト)」に対する対応です。特に教員の職務は、文科省が「対人援助職」と位置づけているように、単に教科指導だけでない、対人関係場面における多様な事態に対しての個人の力量が求められています。この「対人援助職」が陥りがちなのは、相手との関係に際限もなくのめり込むことで、それがバーンアウトにつながると考えられます。したがって、その最も効果的な防止策は「自分ができる限界を知ること」です。そして、仕事とそうでない時間の境界を明確にすることです。
もう一つは、自己理解のために援助を積極的に利用する姿勢です。「先生」であることのプライドが邪魔するかもしれませんが、心の悩みを自分だけで解決しようとせず、必要に応じて信頼できる相手に助言を求めるのが良いでしょう。スクールカウンセラーを生徒だけでなく、教員も利用するのも良いと思います。
心理相談・カウンセリングのスペシャリスト
村田晃さん(うつ心理相談センター東京)
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