「伊達マスク」に隠された若者のサイン
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20代以下の女性の約4割が伊達マスクを経験
本来の衛生上や仕事上の理由とは異なる目的でマスクを着用することを、「伊達マスク」と呼びます。そして、当初は「伊達マスク」だったものの、次第に心理的にも物理的にも手放せない状態となる「マスク依存症」が増加しています。
インターワイヤード社のDIMSDRIVE事務局の2014年3月のアンケート調査によると、伊達マスクやマスク依存症という言葉を「聞いたことがない」と回答した人は全体の6割~7割を占めました。一方で、伊達マスクの経験について、10代~70代男女の全体が14.8%であるのに対し、20代以下の女性は41.2%と特出して高い結果が出ました。背景として、アイメークを強調するため、また、化粧をしていないからという理由で伊達マスクをすることがあるようです。
今回はその中でも、「自分自身がマスク依存症だと認知している」という20代以下の男女が他の年代に比べて多いことに注目してみます。これは、意識的にも無意識的にも、コンプレックスを感じている若者が増えてきていることの結果かもしれません。マスクを付ける心理的背景には、人の視線を避けたい、自信がない、他の人とうまく話せない、マスクがあると安心する、接触されにくい、視線が気になる、などが隠されています。
適切なサポートがあれば、マスク依存の克服も可能
現在、感染防止や予防のために小中学校では積極的にマスクを配ったり、大気汚染予防のためにも使用したりと、着用のハードルが下がったこともマスクに頼る人の増加に影響しているようです。しかし、ふとしたきっかけからマスク依存症の状態になり、不登校、引きこもり、ニートという状況になることも予想されます。
さらには、人前で極度に緊張する、他人の反応に敏感になる、自分の視線が相手に不快感を与えるという恐怖を抱く、他人の視線が怖くなる、といった他者との関係における心理的状態から、身体的症状として発汗、震え、筋肉のこわばり、動悸が表れてくることもあります。これらは「社会不安障害」の症状である可能性も考えられます。
「マスク依存」は、年齢の高い人と比べて単純に生きている時間と経験が少ない若者にとって、支援を求めているサインかもしれません。マスクに頼りたくなる心の作用を理解し、認知行動療法をはじめとする治療、専門的見地のもとでの適切な周囲のサポートがあれば、克服していくことは可能です。
うつ病から企業を守るメンタルヘルスカウンセラー
毛受誉子さん(株式会社愛知心理教育ラボ)
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