100人に1人起こる「統合失調症」
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統合失調症の代表的な症状
統合失調症は人口の0.7~1%の割合で発症すると言われ、厚生労働省の調査では2008年現在、推計受診中の患者数は79.5万人とされています。統合失調症の診断は、DSM5(※1)あるいはICD-10(※2)の診断基準に沿って実施されます。統合失調症の原因は明確にはわかっていないとされています。発症のしやすさは遺伝すると言われていますし、環境的要因(進学、就職、結婚など)がきっかけになるとも考えられています。
代表的な症状は次のものです。「①幻覚(幻聴、幻味、幻嗅など)」「②妄想(被害妄想、誇大妄想など)」「③日常生活、社会生活において支障が出る(会話が成立しない、自分の感情を表現できない、他者の感情を理解できない、洗面・入浴・片付けを始めとする基本的な生活、その他の場面において意欲的になれないなど)」。症状の表れ方、程度には個人差が大きく、統合失調症になればどの症状も持つ、というわけではありません。
薬物治療の注意点と社会的治療
治療には薬物療法、心理社会的療法があります。薬物治療時の注意点としては、服薬し始めてからの変化を記録し、担当医に伝えることが大切です。「不安感が減った」「眠れるようになった」といった改善された症状と、逆に新たに出てきた状態「集中力が無くなった」「一日中、眠気が強い」「いつもボーっとしている」「だるい」「ろれつが回らない」「ヨダレが出る」などを伝えましょう。
統合失調症の患者の中には、薬物治療だけを行っている人もいますが、社会的治療として病院で実施されている心理教育プログラムに参加したり、行政の窓口で相談し、「障害者自立支援法のサービス」を利用したりすることも必要でしょう。また、治療を始めて2年以内、あるいは未受診であれば、国立精神・神経医療センター(東京都小平市)の「統合失調症早期診断・治療センタ―」で相談ができます。
支える家族の負担軽減に、各種制度・サービスの利用を
平成21年度の熊本大学で行われた障害者支援プロジェクトの報告によると、統合失調症の患者の支援者は両親が53%、兄弟が19%となっています。子どもが患者の場合、将来の生活の心配を減らすために「成年後見制度」を利用することも考えられます。
そして、家族の心身の健康のために負担の軽減という観点から、行政やNPO、任意団体で行われているサービスを利用する方法もあります。家族にとって、患者を支えることはとても大変です。しかし「幻聴、妄想を始めとする症状や状態を否定しないで受け止める姿勢」は患者に安心感をもたらします。それが症状の安定につながります。そうした対応ができるようになるためにも、同じ病気を持つ他の家族との交流は心の支えになるでしょう。
最後に、発達障害を持つ人の「フラッシュバックの幻聴とファンタジー妄想」を統合失調症と診断されるケースがあります。診断に疑問がある場合には セカンドオピニオンを求めることも必要です。
(※1)DSM 5=Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(精神障害の診断と統計の手引き)
アメリカ精神医学会
(※2)ICD-10=International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)
WHO(World Health Organization:世界保健機関)
アドラー心理学&発達性トラウマセラピスト
福田 シェシャドゥリ 育子さん(松戸こころの相談室)
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