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それってトラウマ?心理ケアの注意点

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日常的に使われているトラウマ。その医学的定義

それってトラウマ?心理ケアの注意点

トラウマという言葉は、日常の会話の中でもよく使われます。例えば、「小学生のときに失敗したのがトラウマになって」とか「それがトラウマで苦手なんだよね」といったように。そもそも、トラウマというのは、どのようなものなのでしょうか???トラウマとは、日本語に訳せば、「心的外傷(心の傷)」です。トラウマについてよく使われている医学的定義は、「DSM-IV-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル」記載の外傷後ストレス障害(Posttraumatic Stress Disorder: PTSD)の診断基準にあります。この診断基準では、次の二つの定義を満たすものがトラウマとされています。

一つは、「実際に、または危うく死ぬ、または重症を負うような出来事を一度または数度、あるいは自分または他人の身体の保全に迫る危険を、その人が体験し目撃し、または直面した」とあります。もう一つは、「その人の反応は強い恐怖、無力感、または戦慄に関するものである」となっており、恐れ、絶望感、恐怖といった感情がともなっていることです。

つまり、医学的定義のトラウマと、日常的に使われているトラウマは、意味合いが異なります。

トラウマの正体は、瞬間的に冷凍された記憶や感情、思考の塊

医学的に定義されているトラウマの具体的な出来事は、以下のようなものです。

「自然災害(地震、台風、洪水、竜巻など)」
「人為災害(航空機事故、鉄道事故、交通事故など)」
「生命に関わる大ケガ」
「毒物を用いた犯罪や毒物による事故の被害」
「暴力的な犯罪被害」
「誘拐、捕虜、監禁の体験」
「児童虐待の被害」
「戦闘体験」
「親しい人の突然の予期せぬ暴力的な死」

トラウマの原因となる出来事は身の周りにたくさんあるように思えますが、 普段の生活の中で起こるストレスは、医学的にはトラウマとは呼ばれていません。例えば、離婚したり、病気で家族を失ったり、失業したり、といった大きなストレスを多くの人が体験しますが、これらによって生じた心の傷はトラウマと呼べる範囲のものではないのです。「プチトラウマ」と呼んでも良いのかもしれません。

では、医学的定義のトラウマは、どのようにして生まれてくるのでしょうか?震災、交通事故、暴力的な犯罪被害などといった自らの処理能力を超えるような強烈な体験をした場合、心はその体験から自らを守るために、それを瞬間的に冷凍してしまいます。それによって、その体験に関わるさまざまな記憶、つまり視覚や聴覚による記憶、情緒や感情、その際に抱いた考えや思考などは、瞬間的に塊となり、他の心の領域に影響を与えなくなります。この塊がトラウマの正体です。

その特徴は、顕在的な意識でコントロールできない、潜在的な無意識の領域による仕業となっていることです。つまり、意思の力ではコントロールができないものなのです。よって、トラウマを解決していくには、時間をかけて冷凍されてしまった塊を溶かしていくことが大切。顕在化しているブロックを解きほぐし、奥深くに刻まれてしまった潜在意識の記憶へとアプローチしていき、変容していくということがポイントとなってくるのです。

トラウマセラピーよる心理ケアの3つの注意点

トラウマセラピーを施していく上では、厳密に「トラウマ」と「プチトラウマ」を分けて施術をしているわけではありません。定義的には「プチトラウマ」であっても、本人の大きな心の傷となっており、日常生活に大きな支障をきたしているのであれば、施術が必要です。トラウマセラピーでは、以下のようなことに注意を払います。

1、安全性の確保

トラウマのセラピーを施していく上で最も大切なのが、安全性の確保です。トラウマを受けるような環境で生活をしているのであれば、トラウマの解決は不可能です。まずは、日常生活の安全を確保しましょう。

2、セラピストとの信頼関係

トラウマセラピーを効果的に行っていくためには、セラピストとの信頼関係が欠かせません。セッションの施術ばかりに留意し、焦りの気持ちに捉われてしまうと、せっかくのセラピーも台無しになってしまいます。セッションはあわてずに、「セラピストとの信頼関係を築きながら、時間をかけて行っていくものである」といった理解が必要です。

3、安心できる拠りどころ作り

トラウマを解決していくには、自分の安心や自信がなくなてはなりません。人的なサポートであったり、自分自身の自信につながるようなリソースの確保というものが要です。

トラウマには様々な種類があり、さらには個人個人にはその人特有の個性がありますので、 トラウマを心理セラピーでケアするためには、適合した方法を施していく必要があります。よって、セラピスト選びのための重要な視点のひとつとして、「様々な技法に精通しているセラピストであるかどうか」といったところがポイントになるでしょう。

潜在意識から心の悩みをひもとく心理カウンセラー

福山裕康さん(メンタル・オフィス SINBI(シンビ))

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