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4月から始める暑熱順化 春土用は夏バテ予防のスタート時期

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美容・健康

■土用(季節の変わり目)は気温の寒暖差が激しい時期 病気予防には春土用の過ごし方が大切

日本は四季折々の変化が美しく、環境変化が非常に大きい国です。夏季は35℃を超える猛暑、冬季は氷点下近くになります。年間で30℃以上の温度差を経験することになります。特に季節の変わり目は、自律神経や体調の管理に気を付ける必要があります。
東洋思想では、季節の変わり目を土用(どよう)と言います。土用は、立春、立夏、立秋、立冬の前18日間のことです。年4回ある土用は、それぞれ、春土用、夏土用、秋土用、冬土用と呼ばれます。
2026(令和8)年の暦で言うと

冬土用は 立春(2月4日)の前18日間(1月16日~2月3日)
春土用は 立夏(5月5日)の前18日間(4月17日~5月4日)
夏土用は 立秋(8月7日)の前18日間(7月20日~8月6日)
秋土用は 立冬(11月7日)の前18日間(10月20日~11月6日)

になります。

「土用」は、日本で作られた雑節(ざっせつ)の一つです。 「雑節」は、季節の変化をつかむ「二十四節気」の補助的な暦として日本で作られました。平安時代に作られたとするこの暦は、京都地方の気候が基準です。春土用の時期、関東における気候の特徴は、急な湿度の上昇、一日一日の気温較差や昼夜の温度較差が大きいという点です。花や若葉が鮮やかで心地良い季節ですが、からだへの負担は大きい季節といえます。社会的には、年度替わりの環境変化や生活リズムの乱れから、自律神経への負担がかかりやすい時期でもあります。
東洋医学では、春は肝臓、夏は心臓、秋は肺臓、冬は腎臓が旺盛に働きます。土用の時期は脾臓が働くと考えられています。見方を変えると、これらの臓器に負担がかかり、不摂生をするとその臓器機能が低下しやすい時期と言えます。
特に、気温がどんどん上昇する春土用と気温がどんどん低下する秋土用の過ごし方は重要です。春土用の過ごし方いかんによっては、いわゆる五月病のような心身の不調、夏バテや熱中症を起こしやすいからだになります。みなさんは、土用の過ごし方を意識していますでしょうか?
2025年11月19日発売の『知らないうちに寿命を縮める危ない生活習慣24』(清野充典著・小学館)にも、土用の時期の過ごし方やふだんの生活でやめるべき習慣を紹介しています。全国の書店で購入可能です。

■4月は暑さ対策を始めるタイミング

中央に山脈があり、里山が多く、国土が長い島国の日本では、場所によって気温の環境が大きく異なります。健康管理を考える際、ご自分の住む地域の特性を把握する必要があります。
清野鍼灸整骨院がある関東エリアの気候を例に取り、話を進めます。
関東平野の冬季は、雨がほとんどなく乾燥しています。湿度は50%前後です。冬は発汗しなくても乾燥による気化熱で体温が下がります。
3月中旬から雨が多くなり、温度と湿度が上がり始めます。気密性の高い冬物衣類で活動すると、肌が汗ばみます。鉄道会社は、気を利かせてラッシュ時の電車内では、冷房の使用を開始します。
湿度が上がったときは、自力で汗を出す必要があります。急な環境の変化により、体内では自律神経の変動がおこり、のぼせたようになり、上半身だけ大量に汗が出ます。まだ、気温は低いため、外気により汗が冷えます。からだは、体温低下を防ぐため自律神経が活発に働きます。この繰り返しが、からだの疲労へとつながります。3月から4月上旬に特有の悪循環です。

春土用(4月17日~5月4日)の時期になると、湿度が高くなることにより、からだの疲労を感じやすくなります。昨年のデータを例にとると、

① 3月の最高気温26℃の時、最低気温9℃、湿度64%
② 4月下旬の最高気温26℃の時、最低気温18℃、湿度74%

となっています。最高気温だけ見ると同じように見えますが、①の体感温度は23℃、②の体感温度は26℃です❶。湿度が上がり、乾燥による自然な放熱から発汗による放熱に切り替わっています。また、夜間温度(最低温度)が約10℃上がっているため、睡眠中の体温は変化しています❷。
気候の変動にからだが順応するまでの間は、体調を崩しやすい、いくら寝ても疲れが取れないという感覚を、たびたび認識します。

例年春土用の時期は、最高気温が28℃に達しません。まだまだ夜は、肌寒い日が続きます。最高気温が28℃を下回っていときは、最低気温に目を向ける必要があります。からだが昼の暑さに順化するためには2~3週間を要します。日中暑さを感じていても、必要以上に薄着になりすぎないようにしましょう。薄着になったまま一日過ごすことや冷たい物を飲食することを控え、からだの芯が冷えないようにこころがけることが大切です。

■最高気温が25℃(夏日)を上回ったら暑熱順化対策を始めましょう

2023年から夏の暑さが厳しくなってきました。2024年は前年を上回る暑さでしたが、2025年はさらに暑い日が続きました。2026年はそれ以上になるかもしれないと予測されています。
4月11日(土)には、最高気温が、

 29.7℃  佐野(栃木県)
 29.3℃  高崎(群馬県)
 29.2℃  小田原(神奈川県)
 29.0℃  甲府(山梨県)

とニュースで報じられました。2025年4月下旬の最高気温26℃を、4月上旬に上回っています。急激な気温の上昇に対応できず、体調を崩す人が相次いでいます。
しばらく最高気温は上下すると思いますが、最低気温が徐々に上がっていますので、寒さを感じにくい気
候になり始めています。
このタイミングが、暑さ対策を始めるときです。春土用は、18日間ですが、からだが気候に順応するために
は約3週間必要ですので、4月中旬あたりから対策を始めるのが理想的です。
春は、肝臓の疲労を感じる時期です。春土用の時期は、消化器機能である肝臓や胆のう、消化機能を助
ける脾臓、膵臓や胃の機能が低下し始めます。それらの臓腑に起因する代表的な症状は、

1.腰痛
2.目の疲れ
3.涙目
4.疲れやすい
5.眠くなりやすい
6.からだがだるい
7.食べたものが消化しない
8.お腹がはる
9.ガスがたまりやすい

など、様々な症状がでてきます。
いずれも、なんとなく調子が悪い、休んでも回復しない、身からだに力が入らないという状態なため、第三者からみると、「なまけ病だ」とか、「気が抜けているからだ」と言われ、精神面に起因していると取られがちな状態です。俗にいう「五月病」が、それに相当します。
最低気温が20℃を超えたら、寒さを感じる心配がほとんどなくなりますので、暑熱順化対策を始めましょう。

5月の気候や夏に向けた対策をイメージしたい人は、JIJICO内にある下記コラムをご覧願います。
あなたの「体感温度」感覚は正常!?「体性感覚」を衰えさせない方法はあるの?

■春土用の時期にすべき暑熱順化対策とは

春土用の時期に体調を崩さないためには、以下のことが大切です。

①冷たい物の飲食を避ける
②室温を下げすぎない
③衣類に注意する
④積極的に汗を出す

⑴冷たい物の飲食を避けて室温を下げすぎない
春土用の時期には、冷たい物の飲食を避けることや室温を下げ過ぎないようにすることが大切です。
湿度が上がりますので、外気温がさほど高くなくてもからだに熱がこもりやすくなり、「暑苦しい」と感じるようになります。冷たい飲み物や食べ物が欲しくなり、冷房をつけたくなります。
このタイミングがまさしく体調を維持できるか崩すかの分かれ目です。不安定な体調にもかかわらず冷たい物を飲食すると、からだの深部体温が一気に下がります。また、発汗により水分補給が増えるため、冷たいものを多飲すると、胃腸が疲労しはじめます。体調不良となる大きな要因です。
土用の時期は、常温または温かい物を選び、いつもより噛む回数を多めにして、ゆっくり食事をしましょう。口に入れた食べ物の形がなくなるまで噛んで飲み込むだけで、消化の負担が大きく軽減したということが、複数の研究機関から報告されています。
また、湿度が高いとクーラーで除湿をしたくなります。適切な使用は必要ですが、設定温度を下げすぎないようにすることが大切です。肌が汗ばんでいる状態で室温を下げすぎると、体表温度が急激に奪われ、自律神経の乱れを助長します。
4月下旬から5月上旬の気温は、例年25℃前後です。除湿をするときは弱冷房に設定し、からだに直接風が当たらないように気を付け、扇風機やサーキュレーターで空気の対流を起こしましょう。気化熱で自然な放熱を助けることが、春土用のからだに優しい冷房の使い方です。❸

⑵衣類に注意する
春土用は寒暖差が大きく、「暑いという予報を見て半袖で出かけたら夜は肌寒くなった」「長袖を着てコンビニに入ったら汗でおなかが冷えた」などの経験をしやすい時期です。
この時期に適している服装の一つが、襟元や襟首や裾がゆったりとした肌に密着しない服です。
衣服と肌の間に空気の通り道があると、動くたびポンプのように空気が入れ替わり、中にこもった熱や湿気を外に逃がしてくれます。この時期は、半袖・短パンよりも、ゆったりした長袖・長ズボンで過ごすほうが、涼しく快適に過ごせます。素材は、麻やポリエステルなど、汗ばんだ湿気を素早く吸収し乾燥する素材が、適しています。
また、汗ばんだ状態で冷房の効いた室内に入る場合の対策も必要です。
5月に入ると、30℃前後の真夏日になる日が、突如出現します。電車・オフィス・スーパーなど冷えた室内と暑い外との出入りを繰り返す人は、肌に現れた汗をできるだけ残さないように工夫する必要があります。
環境が許せば、肌着をまめに着替え、乾いた手拭いでこまめに汗を拭くなどすると、体調管理と冷え対策になります。また、水分を素早く透過させる化繊インナーの上に、吸湿性の良い綿などの服を重ね着することも有効です。❹❺❻

⑶積極的に汗を出す
5月以降に夏バテをするかしないかは、それまでに暑熱順化しているかどうかにかかっています。汗による放熱が適切にできるように、この時期から「適切に汗を出して体温調節する」練習をする必要があります。
特に推奨したいことは、

1.湯船に入る入浴
2.適度な運動

です。

シャワー中心の入浴方法は、下記の点がこの時期に不適です。

(1)足元の体温が上がりにくいこと
(2)交感神経を刺激しやすい

一方、春土用の体調維持には全身の入浴が適しています。深部体温(内臓の温度)は、シャワーでの入浴後体温の上昇は約0.2℃です。湯船に入る入浴後は、0.5℃上昇するためです。
土用の時期は消化機能が落ちやすいため、食事前に入浴して、深部体温の上昇及び血行改善をしたのち、食事をすると、消化の助けとなり、睡眠の質が向上します。汗を有効に出すことにもつながります。38℃~40℃の湯船に2~3分入ると効果的です。
4月は、運動を始めるまたは再開するには、最適な季節です。運動は、ウォーキング、ジョギングやストレッチなど、何でも大丈夫です。自分の体力に合わせ、継続可能なことを選択していただきたく思います。軽く汗ばむ程度で、十分効果が表れます。一日5分程度の運動から始めてみましょう。2~3週間毎日運動を継続していると、暑熱順化してきます。自己判断できる目安は、汗です。ベタベタした汗から、サラサラした汗に変化してきたら、暑熱順化してきていると考えて宜しいと思います。その頃には、疲れにくくなった自分を認識すると思います。
からだが暑さに慣れるためには、通常2週間~1か月程度を要しますが、ようやく暑さにからだが慣れても、数日間暑さから遠ざかると戻ってしまいます。例えば5月の連休中に、運動せず冷房の中で長時間何日も過ごしていると、暑さに対する体内の準備が、リセットされてしまいます。
例年、5月は夏日(25℃以上30℃未満)が増えます。近年は真夏日(30℃以上)の日もあります。そのため、熱中症で搬送される人が急増します。熱中症患者の4割は室内で生活している人です。そのうち1割は夜間に発生しています。
5月末頃からの本格的な蒸し暑さに備え、春土用のうちから暑さにからだを慣らす生活を始めましょう。汗が出やすい体調をつくること、「体温低下を考慮した適度な涼しさ」を感じるようにクーラーの使用を注意することが、元気に夏を迎えるためのポイントです。❼❽❾

夏の対策をイメージしたい人は、JIJICO内にあるコラムをご参照願いたく思います。
熱中症が一番多いのは室内?熱中症対策にはクーラーの使用が有効?

■気温の寒暖差による体調不良に鍼灸治療や瘀血治療は最適です

春土用の時期に適切な対策を講じることが出来ず、気温の寒暖差による体調不良でお悩みの人は、是非鍼灸治療(内外科治療)をお試しいただきたく思います。内臓の疲労回復や機能向上に、鍼灸治療(内外科治療)は最適です。
春土用の時期に感じる腰痛、目の疲れ、涙目、疲れやすい、眠くなりやすい、からだがだるい、食べたものが消化しない、お腹がはる、ガスがたまりやすいなどの症状は、数回の鍼灸治療や瘀血治療で改善可能です。薬物治療(内科治療)や外科手術(外科治療)をした後に体調不良を感じている人は、からだの外側から内臓機能に働きかけることが可能な鍼灸治療(内外科治療)が有効ですので、お近くの鍼灸院または鍼灸師が勤務している医療提供施設にご相談ください。
清野が呼称する養正(ようせい)治療は、日常の適正な生活です。詳しくお知りになりたい人は、清野鍼灸整骨院ホームページ「くらしと養生」をご参照願います。からだ調管理や健康増進には、運動法や呼吸法が有効です。ヨガ(YOGA)療法をご希望の人は、清野メディカルヨーガもしくはお近くのヨガ教室にご相談いただきたく思います。

2025(令和7)年11月19日(水)に小学館から発売された清野充典著『知らないうちに寿命を縮める生活習慣24』の内容は、JIJICOに掲載された1~70本目のコラムを24に再編集した内容です。一家に一冊の実用書としてご活用いただけたら幸甚です。清野が提唱する「養正治療」の内容が満載です。東洋医学に基づく養生法を実践いただきたく思います。

[参考文献]
❶同愛会グループ 2017年9月号 暑さ指数(WBGT)をもっと活用しましょう
❷国土交通省気象庁 旬ごとの値
❸東京科学大学 長時間咀嚼すると食後のエネルギー消費が増える
❹ WACOAL BODY BOOK Dictionary Fashion 教えてドクター2015.07.15
夏を制するのは、汗の蒸発を促す服!

❺ 日本経済新聞 熱中症防ぐなら服は綿よりポリエステル 開口部も重要熱中症を衣服の工夫で防ぐコツ(上)
❻ ULLR MAG. 実は危険な「汗冷え」のメカニズムを知ろう!登山で準備しておきたい、インナーでできる簡単な対策って?
❼ウチコト 半身浴って効果はあるの? 全身浴、シャワー浴との上手な使い分け方は?【東京ガス都市生活研究所】
❽熱中症ゼロへ 熱中症について学ぼう:暑熱順化
❾住まいと住まい方による熱中症予防

清野充典

東洋医学と西洋医学の融合を目指す鍼灸師・柔道整復師

鍼灸師

清野充典さん(清野鍼灸整骨院)

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