コロナショックで住宅ローンが払えない 返済遅延・滞納への対応策は?
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コロナショックで、企業や家庭に経済的な影響が出はじめています。国も現金給付といった支援策を講じるなど、さまざまな対策を検討しているようですが、多くの人の頭を悩ませているのが、住宅の問題です。
「収入が減っても家賃は必要」「他の支出は減らせても、住宅ローンの支払いは待ったなし」「住宅を購入したが、工事がストップして入居ができない」など。
特に住宅ローンを抱えている人の中には「支払いが滞るのでは」と、不安に思っている人も多いようです。
一層厳しくなる家計を見越して、住宅ローン支払い方法の見直しなど、私たちにできることはないのでしょうか。ファイナンシャルプランナーの菊池英司さんに聞きました。
「返済期間の延長」と「元金の返済猶予」を検討するほか、生命保険の運用部分を一時的に利用するなどの工夫も
Q:新型コロナウイルスによる経済活動の停滞で、住宅ローンの支払いが難しくなる人が増えるのではありませんか?
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経済活動の停滞により、企業の規模に関わらず、多くの企業が危機的な状況になっています。社員の給与や賞与への影響は避けられません。貯えを切り崩すことで住宅ローンの返済が可能な人も、長期化すれば耐えられなくなるかもしれません。住宅ローンの返済に困る人は確実に増えます。
住宅ローンの低金利が常態化し、返済額が抑えられていたため、住宅ローンを借り過ぎている人が多数みられます。今後、住宅ローンで破綻してしまう人は増加するはずです。
Q:新型コロナウイルスの影響で収入が激減し、住宅ローンの支払いが滞った場合、どのようなことが起こりますか?
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住宅ローンの支払いが滞ると、金融機関から督促状が届き、返済を督促されます。さらに3カ月から6カ月滞ると、金融機関は保証会社に保証債務の履行を請求し、保証会社は住宅ローンの債務者に代わり一括返済することになります。
次に、住宅ローンの債務者は、保証会社から一括返済を請求されますが、通常は一括返済ができないため、保証会社は債権回収のために競売の手続きを行います。住宅ローンの支払いが滞ってから、自宅を手放すことになるまで、あまり時間はありません。
ですから、そうなる前に、できるだけ早く金融機関に相談すべきです。金融機関にもよりますが、「返済期間の延長」など、返済条件の変更に応じてくれることがあります。
Q:1回でも滞納してしまうと、その後の支払いに関して不利益が生じるのでしょうか?
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返済が滞ると、個人信用情報機関に滞納の記録が登録されます。どのくらいの期間、返済が滞ると登録されるのかは、金融機関によります。個人信用情報に滞納の記録が登録されると、それ以降、金融機関から借り入れをする際、審査が通りにくくなります。住宅ローンの借り換えができなくなる可能性も高くなります。
また、優遇金利が適用されている住宅ローンでは、適用を取り消されてしまうことがあります。「1回の滞納でも優遇金利の適用を取り消す」としている金融機関もあるようです。「たった1回、返済が遅れただけでも許されない」。借入金の返済とはそういうものです。自分勝手な解釈や甘えは、決して許されません。
Q:住宅ローン利用中の人が、支払いが困難かもしれないと思ったときの相談機関はありますか?
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まずは、速やかに住宅ローンを借りている金融機関に相談するべきです。滞納者への対応は、各金融機関によって異なり一律ではありません。どこよりもまず住宅ローンの借入先に相談した方がよいでしょう。
住宅ローンの債務者の状況にもよりますが、返済条件の変更に応じてくれることがあります。返済条件の変更により、返済額を抑えることができ、返済が継続できるかもしれません。
ただし、返済条件の変更で毎月の返済額が減額されても、それは返済の一部を繰り延べているだけで、債務を免除されたわけではありません。返済を繰り延べたことで金利負担が増え、総返済額は増えてしまいます。
金融機関に相談し、返済条件の変更などをしてもなお、住宅ローンの返済が困難な場合は、民事再生による債務整理を行うという選択肢もあります。家を残したまま、債務整理を行う方法です。この場合は、弁護士に相談することになります。
また、家を売却して債務を返済するという選択肢もあります。この場合は、不動産業者に相談します。売却価格よりも住宅ローンの残債が多い場合には、売却しても完済できないため、金融機関との調整、交渉が必要です。このような売却を「任意売却」と言います。
不動産業者の中には任意売却を専門としている業者も多いので、そういう不動産業者に相談するとスムーズに対応してもらえます。
Q:住宅ローン利用者が今のうちにできる自衛策はありますか?またその際の注意点は?
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何よりも住宅ローンの返済を優先させなければなりません。そのためには、家計の見直しをするべきでしょう。たとえ当分の間は返済できるだけの貯えがあっても、可能な限り長期間持ちこたえることができるように、毎月の支出を削ります。
毎月の支払額が決まっている「固定費」から見直すことがポイントです。なかでも大きな固定費となっているのは、生命保険料です。これを機に生命保険を見直してみましょう。
生命保険の中には、終身保険や個人年金保険などのように、運用部分がある保険があります。これらの保険は途中解約をすると、それまでに支払った掛け金よりも解約返戻金の方が少ない場合が多く、損をしてしまうことがあります。
この場合には、生命保険の貸付制度を利用するとよいでしょう。生命保険を解約せずに「貸付」という形で、運用部分として貯まっているお金を一時的に利用することができます。
そのほか、スマホアプリなど、毎月の継続課金(サブスクリプション)の支払いをリストアップして、本当に必要かどうかを確認してみましょう。利用頻度が低いものを解約することで、少額であっても支出を抑えることができます。
Q:今回のコロナショックでは、順調に住宅ローンを返済できることを見込んでいた多くの人が、予測不能の事態に陥り戸惑っています。ほかにできる対策はありませんか?
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どれほど予測不能なことであっても、住宅購入時の資金計画では、本来、織り込み済みでなければなりません。
① 住宅購入時に、自己資金をできるだけ多く充てて借入金を抑えること
② 手元には毎月の生活費の6カ月から1年分を残しておくこと
この2点が、住宅ローンを組む際に講じておくべき対策です。
しかし多くの人が、自己資金を準備する前に、十分な蓄えもないまま住宅を購入しています。この場合には、残念ながらできることは少ないです。それでも、たとえば妻が専業主婦なら勤めに出る、保有している資産を換金する、などの方法が考えられます。
資産の中には、家財なども含まれます。自家用車が複数台あれば、そのうち1台を処分する、趣味の収集品の中で換金できるものや、使わない貴金属類は売却するなど、この際、不要なものは思い切って売却しましょう。身のまわりに、意外に資産価値を持つ不要品があるかもしれません。
今回、さまざまなことをがまんしたり、手放したりするようなことになっても、経済が動き出せば必ず挽回できると信じて乗り越えていきましょう。
住宅購入・住宅ローンアドバイスのプロ
菊池英司さん(きくち秀英事務所)
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