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派遣業界の2018年問題で注目を集める無期雇用派遣、メリットとデメリットは?

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多くの企業で対応が求められる2018年問題

改正派遣法と改正労働契約法による2018年問題をご存じでしょうか。

2015年の労働派遣法改正、2012年の労働契約法改正により、派遣社員やパートタイム労働者などの有期雇用労働者について、多くの企業で2018年前後に雇用契約への対応を求められます。法改正のねらいどおりに正社員化が進めば良いのですが、企業では人件費などのコストが増える可能性が考えられます。

これにより大量の雇い止めが発生し、仕事を失う有期雇用労働者が出ることが懸念されています。

派遣社員やパートタイム労働者など有期雇用労働者の雇い止めが発生する可能性も

2015年の労働者派遣法の改正により、労働者を同一の事業所に派遣できる期間は原則3年が限度となりました。

また2012年の労働契約法の改正により、派遣社員やパートタイム労働者などの有期雇用労働者は5年以上継続して雇用されると、無期雇用契約への転換を申し出ることができるようになりました。

2018年の今年は、この「派遣期間の上限3年」と「有期雇用労働者の無期転換」が同時にやってくる年です。そして、2015年9月に施行された改正労働者派遣法で初の「派遣期間の上限3年」を先月の9月末に迎えました。

改正労働者派遣法では、派遣労働者を3年以上雇用した場合には、次のいずれかの措置を取ることになっています。

(1)派遣先に直接雇用を依頼
(2)新たな派遣先の提供
(3)派遣元において無期雇用
(4)その他安定した雇用の継続を図るための措置

上限3年を迎えるにあたり派遣会社がまず行うことは、派遣先への直接雇用の依頼です。

しかし、人件費などのコストが増える直接雇用には慎重な企業も少なくないのが現状で、本来の目的とは裏腹に正社員化は進まず、派遣労働者が雇い止めとなる事実上の「派遣切り」も出てきています。派遣切りを想定して、大手派遣会社では「無期雇用派遣」をサービスとして取り入れるところが増えてきました。

こうして最近注目されるようになった無期雇用派遣という働き方について、その仕組みやメリット・デメリットなどを確認していきましょう。

無期雇用派遣のメリットとデメリット

派遣社員の働き方には、「登録型派遣」と「常用型派遣」の二つがあります。「登録型派遣」は、あらかじめ派遣元に登録しておき、派遣されるたびに派遣元と有期雇用契約を結び、派遣期間が終了したら労働契約も終了する働き方です。

これに対して「常用型派遣」は、最初から派遣元に社員として雇用され、派遣先で就業する働き方です。

「無期雇用派遣」は、派遣元と無期雇用契約を結んで雇用期間の定めがない点で、「常用型派遣」に含まれる働き方になります。

無期雇用派遣のサービスでは「正社員と同等」と表現されることがあり、雇用形態と雇い主が正社員とは異なりますが、給与は月給制で賞与もあり、雇用期間の定めがない点で安定しています。しかし、あくまで無期雇用派遣は正社員に近い待遇であって、正社員ではありませんので注意が必要です。

他にも、無期雇用派遣には下記のメリットがあります。

(1) 派遣元に雇用を保証してもらえる
(2) 年齢を重ねても次の派遣先を派遣元が探してくれて安心
(3) 3年を超えても同一業務で働ける
(4) 長く働く中でキャリア形成ができる

その反面、下記のようなデメリットもあります。

(1) 契約の切れ目がなくなり働き続ける必要がある
(2) 派遣先を選べない

安定とのトレードオフで、本来の派遣社員らしい自由な働き方ができないことが一番のデメリットとも言えます。また「登録型派遣」とは異なり、採用選考があることもデメリットの一つと言えるでしょう。

無期雇用派遣として働くことは選択肢の一つとして捉え自分らしい働き方を

本来の派遣社員のメリットは、これまでの自分の経験やスキルを生かして、自分のライフスタイルに合わせて働けることにあります。

無期雇用派遣は登録型派遣に比べて安定していますが、派遣本来のメリットを損なうことにもなります。また、月給制で賞与もあり雇用期間の定めがないからといって、正社員ではありませんので契約解除の可能性があります。また、正社員のようには給与は上がっていきません。

安定を求めて無期雇用派遣を選択するのであれば、正社員として働くことも選択肢に入ります。

書類選考や採用面接など、無期雇用派遣に比べると採用までのハードルが高い部分もありますが、長い目で将来のキャリアを考える上では、紹介予定派遣や転職活動を並行して正社員を目指すことは、労力をともないますがメリットも大きいと言えます。

無期雇用派遣は選択肢の一つです。無期雇用派遣の働き方は、安定して働く中でキャリア形成をしていくチャンスでもあります。そのため、これから先も長く活躍していくための経験やスキルの獲得を意識して働くことが大切です。

将来のキャリアプランやライフスタイルを大切にしながら、自分らしい働き方を選択しましょう。

折山旭

働く人と組織を活き活きと輝かせるプロ

公認心理師

折山旭さん(信州ライフキャリア研究所)

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