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働く女性と生理~その負担軽減と生理休暇について~

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生理が女性の働き方に「大変さ」を感じさせている

生理用品ブランド「elis」が、「女性の働き方」に関するアンケートをおこなったところ、「女性として働くときに大変だと感じること」という問いに対し「生理があること」という答えが第2位(53.3%)だったそうです。

ご承知のように、「生理」は病気でありません。しかし、生理が原因で起こる体調不良はPMD(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障がい)、月経困難症などと呼ばれ、(程度に個人差はあるものの)倦怠感や疲労感、集中力の欠如や腹部の痛みなどを引き起こします。そして、このような状態は1~2週間続き、それが毎月やってくるのですから、「生理があるのは大変だ」と感じるのは無理からぬことです。

生理休暇は法律で定められているが取得率は非常に低い

こうした女性の辛さを鑑みて、労働基準法には「生理休暇」についての規定が定められています。

労働基準法第六十八条(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)
使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない

このように、生理休暇は法的に認められた立派な権利なのですが、「平成27年度雇用均等基本調査」(厚生労働省)によると取得率はわずか0.9%と、ほとんど利用されていません。

その理由としてまず挙げられるのは、「生理だと知られるのが恥ずかしい」「生理くらいで仕事を休める雰囲気ではない」といった「取得のしにくさ」です。

生理休暇の取得をしやすくするためには?

確かに、生理というのは非常に個人的かつデリケートな問題として捉えられており、たとえ女性同士であっても、職場でオープンに話せるものではありません。

また、「男にだって具合の悪いときがあるのに、なぜ女性ばかりに余分な休暇を与えるのだ」という不公平感や、不正取得の疑いを持たれることなどが、ハードルを上げているのでしょう。

こうした状況の中、生理休暇の取得率を上げ、「生理が大変だ」という働く女性の負担感を軽減するにはどうしたらよいのでしょうか。

まず考えられるのは、生理が心身に及ぼす影響への教育と啓発です。

生理に関する教育といえば、学校の保健体育等の時間に少し行われるだけで、その知識と理解は圧倒的に不足していると感じます。月経困難症をはじめとする生理に起因する症状や、それらが仕事に与える影響について、改めて啓発していくことが重要ではないでしょうか。

また、テレワークなど自宅での作業が可能な環境を整え通勤の負担をなくすことで、休暇を取らなくても仕事ができる場合もあります。生理中に限らず他の社員も利用できるような柔軟な制度であれば、介護離職などの防止にもなるでしょう。

不正取得を防ぐためには、生理休暇中は無給とする旨を就業規則に定めるなどの対策が効果的でしょう。場合によっては懲戒処分の対象になる可能性があることも、周知しておきましょう。

あるべき生理休暇をきちんと議論する時期に来ている?

「生理休暇」は、今とは比較にならないほど厳しい労働条件と就労環境が当たり前だった1947年に、女性の保護を目的として定められた規定です。そのため、それらが劇的に改善され、女性の社会進出が進んだ現代においてまで、この規定をそのまま適用するのは時代遅れだ、という声も聞こえてきます。

しかし、相変わらず家事・育児(時に介護まで)の主な担い手であり、更には「すべての女性が活躍する社会(内閣府)」などと銘打たれ、男性と同等の働き方を期待される現代女性は、当時とは違った意味で、厳しい環境に置かれています。

「健康経営」が注目される中、女性のみが持つ「妊娠・出産」という大切な機能を保護するための「生理休暇」がどうあるべきなのか、きちんと議論すべき時期に来ているのかもしれません。

介護業界の人財育成・人事労務に特化した社会保険労務士

五井淳子さん(アクティ労務管理事務所)

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