海外でも人気の日本酒 なぜ日本酒が注目されているのか?
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国内消費は年々減少 しかし海外輸出は7年連続過去最高
国内での消費量は1973年(昭和48年)がピークと言われており、下降の一途をたどっています。酒類の多様化、パワーハラスメント対策の普及やお酒に弱い体質(元来日本人・倭人の体質はアルコール分解に非常に弱い人種)の人はお酒を飲まないなどの現代的風潮がさらに日本酒離れに拍車をかけています。歴史的に神事と長らく寄り添ってきた日本酒が神に見捨てられるように庶民の間では少しずつ置いてきぼりと言った感じです。国税庁によれば、国内の酒類消費数量のうち日本酒が占めるのはわずか6.7%と破滅的な状況です。
しかし、世界での評価は全く違います。特に世界の主要都市で日本酒を見かけないことはないほどです。実は日本酒(清酒)の海外輸出量はここ7年連続で過去最高を記録しています。この海外での日本酒の評価とその人気の要因は何なのでしょうか?
日本酒が海外で人気の秘密
約40年前に旭川市の酒造である男山が海外戦略を仕掛け、世界最高峰の酒類コンクールに挑み「日本酒」の魅力を世界に発信するようになりました。男山の活躍がなければ、海外で話題のブランド酒が普及拡大することもなかったとも言えるでしょう。
そして、世界での日本酒の高評価の最大の追い風は、和食が「ユネスコ無形文化遺産」に登録されたことです。世界中の食通を虜にする「和食」と「日本酒」のマリアージュは最高であり、日本酒の持つ香り、味わい、酸味、旨みなどが理解されるとさらに口コミが広がります。特に「旨み」の持つ重要さが際立っています。
しかも、日本酒は「和食」のみならず「イタリア料理」「フランス料理」「中華料理」など世界の料理ともすばらしいハーモニーをかもし出すことが解ってきました。特に世界の名だたるワインソムリエの評価も著しく高く、日本酒を理解することがステイタスにもなっています。
世界のスタンダードの醸造酒は圧倒的にワインです。そのワインと同じカテゴリーとして日本酒は認知されるようになりました。葡萄やメロンなどの果物からつくられるワインと同じように、「米から生まれるワイン」というわけです。
葡萄ワインには赤葡萄や白葡萄など多種多様な香味の違う葡萄の品種がありますが、日本酒の原料米は品種こそ100種類以上あるものの基本的には「ジャポニカ米(粳米)」だけです。シンプルな原料、多様な香りを生み出す酵母や清冽な水、そして世界でも日本酒造りにしかない「糖化」と「発酵」が平行して進む「平行複発酵」によってつくられた「知恵の酒」が世界中の酒通を唸らせているわけです。
まだまだ多くの造酒屋は酒造りを「斜陽産業」と捕らえる経営者もいます。しかし、年々人口も減ってくる日本、若者の酒離れが進む人口「1億3000万人」の日本よりも、日本酒の奥深いポテンシャルを理解し愛飲してくれる莫大であり無尽蔵にある手付かずの海外市場を勝ち取る経営感覚が芽生えてきている酒造もあります。若手の酒蔵経営者や若手の杜氏の変化を恐れないあくなき挑戦で倒産寸前から一躍再生した蔵も少なくありません。
世界じゅうの日本酒好きの趣向をいち早く理解し、酒質を進化させ魅了させることの方が未来が描ける。そして海外での普及活動など具体的な行動に出ている大胆さもワールドワイドに広がっている人気の要因でもあります。
日本酒ブームを一時的な流行にしないために
日本の取り巻く酒類や人口減の環境の変化、若手のチャレンジ精神、和食人気、ワインと同じカテゴリーとして認知されてきた日本酒のポテンシャル、2020年の東京オリンピックに向けてそれを普及させようとする国策。この海外でのブームをこれからも継続させる為には大きな要注意点が三つあります。
- 1.日本酒の海外での徹底した品質管理
- 2.日本酒の正しい知識を持った海外での人材育成
- 3.日本酒の正しいサービス方法を熟知した人材育成
これらが同時に進まなければ一時的な流行となってしまうかもしれません。残念なことに世界中には日本酒ブームに乗っただけの似非日本食店が多数存在します。またとんでもない提供方法がまかり通っていたりしています。
やはり基本は日本に住む我々が日本酒の素晴らしさを知り、正しい飲み方を知ることで、楽しい日本酒ライフが送れるとともに日本酒業界の再興にも直接繋がります。
お酒が飲めるすべての方が晩酌や飲み会で「ぐい飲みサイズ1杯」日本酒を飲んでくれたら日本酒業界は必ず一気に再生します!
世界が恋する日本酒で今宵も乾杯!
北海道産酒や全国の国酒の良さを発信するきき酒のプロ
鎌田孝さん(合同会社タックドゥープランニング)
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