特別の備えが求められる高層マンションの地震対策
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関東大都市圏で増え続ける高層マンション居住者
総務省が平成28年2月に公表した「住宅・土地統計」によると、15階以上の共同住宅(アパートやマンション等)数が5年間で47.6%増加しており、住宅の高層化が進んでいます。
特に関東大都市圏では高層マンションの居住率が高く、首都直下地震への対策を図るには、高層マンションにおける地震対策に取り組むことが必須です。
過去の大震災でも高層マンション特有の被害が発生
阪神・淡路大震災や東日本大震災では、マンションでどのような被害を受けたのでしょうか。
一般社団法人マンション管理業協会によると、建物の倒壊などの大きな被害は少なかったものの、壁の剥離やひび割れ、受水槽など設備の破損が発生しました。
ライフラインの停止は被災後の生活に大きな影響を与え、自宅での生活が困難になり避難した人が多くいました。
なかでも高層部の住民の多くは、エレベーターの停止によって住居からの出入りが困難になり孤立するという、いわゆる「高層難民」となりました。
震災後、高層建築物特有の揺れによる被害も注目されています。
震源地が遠く離れていても、高層マンションの構造や高さ、規模によっては、ゆっくりとした大きな揺れが非常に長く続きます。
この「長周期地震動」によって、高層階になるほど、室内の家具や電化製品が移動・転倒するなど、被害が大きくなる恐れがあります。
高層マンション特有の地震対策が必要に
過去の経験を教訓として、高層マンションにおいて日常から取り組むべき地震対策を、個人およびマンション全体で検討し、備えることが大切です。
個人では、①家具・電化製品の移動・転倒防止対策をしましょう。②在宅避難時、ライフラインの供給停止を想定した備蓄品を備えましょう。
例えば、1週間以上の食料や飲料水(1人1日3?)、生活用水(ポリタンク)、簡易トイレ、カセットコンロとガスボンベ(予備)、懐中電灯、ラジオ、電池、携帯電話のバッテリー、薬のような個人にとって必要不可欠な物など。
備蓄する食料は、保存食だけでなく、日持ちのする缶詰やレトルト食品などを普段から少し多めに買い置きし、食べたら補充するという形をとっておくと安心です。
マンション全体としては、住民による自治会で防災組織を立ち上げ、階ごともしくは数階ごとに情報、救助、物資、設備担当を決めておきましょう。
平常時に①設備の安全対策、②備蓄品の内容と備蓄場所の検討(救助工具、担架、仮設トイレ、発電機、炊き出し器具等)、③発災時のエレベーターや階段の利用方法、④要援護者の把握と対応、⑤ごみ・汚物の処理のルール作り、⑥町内会など地域との協力体制について、話し合っておきましょう。
そして年に1度は防災訓練をすることによって、より実践的な備えができます。
多くの場合、管理会社がマンションの日常管理を担っており、住民同士のコミュニケーションが少ない場合があります。
マンション全体として防災意識を高めるためには、日頃からの住民同士の交流が基本です。
日常から「自助」と「共助」の精神で備えることが、いざという時に身を守る鍵となるのです。
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