18歳選挙権の導入を迎え、国民の選挙への関心はどうなるか?
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戦後最低の投票率であった京都3区の衆議院補欠選挙
先日行われた衆議院の補欠選挙では、京都3区の投票率が戦後最低の30.12%、北海道5区の投票率も57.63%で前回を0.8ポイント下回りました。
補欠選挙は一般的に投票率が下がる傾向にあり、また不祥事がらみでの補欠選挙で与党が候補者を立てなかったとはいえ、京都3区の投票率が約3割と極めて低く、与党と野党統一候補との争いとなった北海道5区でも投票率が前回を下回るというのは、国民の選挙への関心が下がっているといわざるを得ません。
他方で、今夏に予定されている参議院選挙において選挙権年齢が18歳以上に引き下げられ、およそ240万人が新たに有権者に加わることになります。
国際的な選挙権年齢との均衡や、若者の声を政治に届けやすくする、というのが選挙権年齢引き下げに対する政府の公式見解です。
他方で、現在は若年層になるほど投票率が低いという現実があります。
国民全体の投票率が伸び悩む中、もともと選挙に行かない若年層の投票率が伸び悩み、新たに選挙権を得た18歳・19歳の投票率も同様となった場合、制度は「絵に描いた餅」になってしまいます。
若年層の投票率が低いわけ
なぜ若年層の投票率が低いのでしょうか。
私見ではありますが、投票率の低さは政治への無関心、を意味しないと考えます。近時の憲法論議での意見でも明らかなとおり、若年層の政治的意識・関心はしっかりしたものがあり、政治や選挙結果に関心が無いから選挙に行かない、という訳ではないと考えます。
では、なぜ若者が選挙に行かないのでしょうか。
色々な意見や分析もあると思いますが、大きな点は、「選挙に意味を見いだせない」ことにあるのではないかと考えます。
候補者は似たり寄ったりで自分たちの意見を反映するものではない、どうせ投票しても有力候補が当選するから意味が無い等々、選挙に対する「諦め」があるのではないでしょうか。
あるいは、自分の票を投じるベストな候補が見つからない、ということもあるかもしれません。
しかし、例え自分が投票した候補者が当選しなくても、当選した候補者に対する反対票として、当選者の今後の政治活動に対する一定の牽制になるなど、選挙に行って投票することには意味があります。
また、選挙はそもそもベストな候補者に投票するものではなく、時の政局や自分の政治的意向をふまえ、「よりベターな候補者を選ぶ」制度です。
望ましい候補者がいないからといって選挙を棄権し、または白票を投じることは当選候補者への白紙委任に等しい、ということです。
若年層には選挙に行く意味をきちんと教えることが必要に
投票率が高い年代はこのことを経験から理解しているものと思いますが、若年層はこれまで選挙における戦略的な投票行動の意義を知る機会も少なかったと思います。
18歳選挙権の導入を迎え、最近は学校での「主権者教育」も熱を帯びてきており、各地の弁護士・弁護士会も力を入れています。
しかし、主権者教育で単に選挙のシステムや「投票に行こう」ということだけではなく、選挙に行く意味をきちんと伝える必要があるでしょう。
また、学校での主権者教育だけでなく、既に有権者となっている層に選挙の意義を伝えることも必要になってくると思います。
今夏の選挙ではこれまでにない熱い選挙戦が繰り広げられることが予想されますが、これまでのように候補者名を連呼するだけの政治活動では投票率が伸びないことは明らかです。
各政党・候補者には政策のアピールはもちろん、特に若年層に対し「選挙に行こう」と思わせるような活動を期待します。
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