リフォームするとき必要な竣工図って何?
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設計図と竣工図の違いは何?
少子高齢化が進む日本では空き家が年々増えてきています。国は空き家対策の一つとしてリフォームを推奨しています。
しかし、リフォーム時に竣工図を持っていないと費用が余計にかかることがあります。
ではその竣工図というのはどういう物なのでしょうか。
設計図とは何が違うのかご存じでしょうか。
実は、建築現場では基本的に設計図の通りに建物を作っている訳なのですが、その建物は全部が全部、設計図通りに出来上がっているわけではありません。
たとえば作っている最中に監督さんとか大工さんとかから、いろいろとこうした方が作りやすいですよとか、こうすればさらに使いやすいですよ、などと提案されることが多々あります。
それは設計監理者からしても、むしろ提案して欲しいとお願いしていることでもあり、本当に良い案であればどんどん取り入れていきます。
つまり変わっていくのです。
お客様にしても、実物がだんだん目で見えるぐらいに出来てくると、ここはこうした方がいいかなとかあそこはこうすると良くなるなどと、変更して欲しいところが増えてくるのは良くあることです。
そして、これが困った話というか実は一番多いことなのですが、必死になって考えて計算し尽くして作られる設計図ですが、所詮机上の空論でしかないので、設計図通りに完成するということはほとんど無いのです。
コンクリートを打設する時に勢いよくコンクリートが型枠に当たって押されて何センチか膨れてしまったとか、材料の手配をしたらどうしても指定サイズの在庫がなく仕方なく違うサイズで代用するしか手がないなど、現場で実践する際には諸々の修正が必要になってくるのです。
そんな現場における変更で一番多いのは、設備関係つまり配管や配線や機器などです。図面の上ではここに配管を通すのが最良と思っていても、実際にはこっちに通した方が作りやすかったり都合がよかったり。
理論は理論、出来るはずは出来たではありません。
作りやすい方法があれば、そのほうがミスが減ります。少しでもより良くなると思えば変更するのです。
つまり設計図そのままに家や建物は出来上がっているというわけではないのです。
竣工図とは何か?
そこで竣工図です。「しゅんこうず」と読みます。
設計図とはどこか違うのでしょうか。
全く違うのです。ある意味、設計図より大事な図面になります。
なぜなら、竣工図というのは実際に建て終わったその建物を示す図面であり、現場で変更した内容を全て網羅した図面であるからです。
この配管の通る位置を現場でこっちに変えたのでそこに描き直し、この機器の位置がちょっと狭かったので変えたから描き直し、お客さんがここに棚が欲しいと要望されたのでそこに棚を書き足し、実際に見るとどうにもデザインが気に入らなかったので少し変更して描き直した。
これらの変更を全て反映したものになるのです。
設計図というのは、これから建てるための図面です。
これに対して竣工図というのは今できている建物そのものの図面です。
つまり設計図というのは完成した後は見てもその建物とは若干中身が違っている図面なのです。
竣工図が無いとリフォームで余計な費用がかかることも
この竣工図、ビルやマンションなどの大きな建物の場合は当たり前にあるものなのですが、住宅などはない場合のほうが多いのです。
ではなぜ竣工図が必要なのでしょうか。
それは、今の建物のために必要なのではありません。将来のために必要なのです。
ようやく世の中はデフレが終わったなどと言われているようですが、まだまだ不景気な世の中です。
住宅やマンションの新築着工件数はどんどん減り続けています。それに伴い増え続けているのはリフォームやリノベーション。
新しく家を建てるのは無理でも今の家はさすがに古くて使いにくいし手狭です。
ならば古くなった建物はリニューアルすることを考えなければなりません。
世は少子化が止まらず空き家がどんどん増えています。空き家の中にはまだまだ、住める、使えるところも多く、それならばそこをリニューアルしてあらためて住む、貸すという形にしていく流れが出来てきています。
そこでリフォーム・リノベーションです。
リフォームでは表面だけをきれいにしても意味がありません。
古くなって耐用年数が近い配管・配線・機器類は変えなければなりません。
でも、それがどこにあるのか、どこを通っているのか壁や床板をあけてみないとわからない。
わからないのに見積もりってどうするのでしょう。
仕方ないのでリフォーム屋さんは最悪の状況でもいいように多くみておきます。
古い建物は耐震補強が必要です。
木構造の筋交いや梁や火打ち、2×4なら構造壁、耐震補強しようにもどこにあるのかわからなければどうやって計算するのでしょう。
全部天井裏や床下から入って調査して計算すればお金がいっぱいかかります。
設計図ではこの配管はここにあると描いてあるので壁破ってみたけどどこにも見あたらない、などというのは本当によくある話です。
破っちゃった壁は戻さなければなりません、当然お金がかかります。
リフォームなどの際、竣工図がないことで実はよけいな現状調査費とか工事費とか材料代をたくさんたくさん払わされているのが現状です。みなさん知らないだけで。
私たちにしても、そういったリフォームの仕事をご依頼頂いた際は、竣工図があるかないかで設計監理料は違います。
さあ工事が終わったら声を大にして言いましょう竣工図をくださいと。
それが無理でもせめて設備の完成施工図だけでもくださいと言いましょう。そもそも元の設備図すらなければどうしようもないのですが。
デザインや技術をあらゆる面から徹底サポートする建築家
杉浦繁さん(アトリエ繁建築設計事務所)
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