介護疲れから人生を悲劇にしないために
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介護による悲劇
日本の総人口に占める65歳以上の高齢者の割合が約25%となり、日本人の4人に1人が高齢者になるほど、少子高齢化が進んでいます。「介護」というワードは、これからの日本に無視できないワードとなっていくとともに、介護者がうつ病などの精神疾患になったり、時には殺人事件につながるような悲劇をニュースで見かけるようになりました。
2006年に京都市伏見区で起きた認知症の母殺害事件は、世間に大きな波紋を広げました。当該事件で承諾殺人罪に問われ、有罪判決を受けた長男が2014年8月、大津市の琵琶湖で命を落としました。親族の証言から、自殺とみられているようです。事件前、彼は介護のために会社を辞め、役所に生活保護の相談をしたものの、「まだ働ける」と断られたとのことです。判決が出た際には、法廷で「母の分まで生きたい」と約束していました。
各地でも同様の事件が起きている
彼が亡くなる際に所持していたカバンには、自分と母親のへその緒、そして「一緒に焼いて欲しい」というメモ書きが入っていました。所持金は数百円で預金はなし。「彼は最後まで孤独から抜け出せなかった」。親族の男性は、新聞社の取材に無念さをにじませ語ったそうです。
このような悲劇的な事件は各地で起きています。報道されていない事件を想定すれば、さらに多くのことが起きているのではないでしょうか。この介護による事件について、心理カウンセラーとして考えてみます。
人間の強みとは
人間は、チーターのように早く走れるわけではありません。ライオンのように鋭い牙と強い顎があるわけでもありません。ゴリラのように力が強いわけではありません。なぜ、これほど人間は地球上で発展したのでしょうか。その一つとして他の動物との顕著な違いが、「集団性」です。人間に近い動物と比較してみると、「猿…15頭」「ゴリラ…35頭」「チンパンジー…65頭」など、動物によって差はあれど、この程度の群れを形成することができます。しかし、人間はなんと150人もの集団をつくることができたのです。
社会から小さなコミュニティーまで、多くの人間と関わるということは、この介護という問題にも重要なことではないでしょうか。公的な介護の社会保障制度を知るというのも、個人がその存在自体を知らなければ、行動に移すことさえ難しいでしょう。
人は、大丈夫であれば大丈夫だと安心し、大丈夫でない時には、早急に変化が起きてほしいと考えがちです。どんな状態にあっても、なってしまう前の対策が善処です。法は法でしかありません。制度は制度しかありません。その背景に人間の心があってこそ、意味を持ちます。仏教の考えで「諸行無常」という教えがあります。この世に存在する全てのものは変化するという意味です。法律や制度もまた、社会に沿って変化してゆくことが必要なのでしょう。
独自手法で短期解決をもたらす心理カウンセラー
青柳雅也さん(カウンセリングルーム アンフィニ)
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