「青と黒」「白と金」話題のドレスは心理を映しだす鏡?
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意見が分かれた話題のドレス、色彩心理が見えの違いを生む?

最近、SNSなどで話題になっていたドレスの画像を知っていますか? 人によっては「青と黒」に見えたり、「白と金」に見えたりするというものです。ドレスの配色の見え方について、科学的な見解はいろいろですが、今回は「色彩心理が見えの違いを生む」という考えのもと、ひも解いていきましょう。
脳に伝達される際の情報により「違う色に識別される」可能性も
まず視覚の基本的なメカニズムについてですが、人間は目に入ってきた光を手がかりに情報を理解します。光が目の網膜に届くと、杆体(かんたい)と錐体(すいたい)という視細胞が神経信号に変換されます。変換された信号は神経節細胞へ伝えられ、視神経を通じて脳へ送られ「視覚」となります。杆体は明暗の感覚を識別し、錐体は波長の異なる赤・緑・青に感度を持ち、その組み合わせで色を識別します(光の三原色説)。
視細胞の数は、錐体で約600万~700万個、杆体で約1億2~3000万個です。この視細胞の数に比べ脳へ伝達する際の視神経数は100万本とかなり少ないため、神経節細胞で「情報の集約」や「色情報の修正や処理」が必要になってきます。
色情報の修正や処理が行われた場合、色を波長のまま受容せずに、視覚の特性によって変化するということになります。同じものを観ても、色が脳へ伝達される際の情報処理が異なれば「違う色に識別される」という可能性を持っているということです。
脳が色覚をどう処理するのかは、計り知れない無意識の世界
ここで見逃がせないのは、神経節細胞の「反対色細胞」です。「赤の興奮を得た場合、反対の緑の抑制をうけ、黄色に興奮を得た場合、反対の青の抑制を受ける」といった、色の反対色説があります。生理学や脳科学からの恒常性機能の一つでもありますが、色彩心理学(心理4原色赤-緑、黄-青)に通じていて大変興味深いものです。
注目の青と黒ドレスの色が金と白に見えるわけについて考察すると、ドレスの後方から指す光の強さ(輝度)も影響を与え、その光の強さのストレスが青を金へ、黒を白へ、反対色へ伝達されたとも考えられます。
しかし色覚において自分の脳がどんな修正をするのか、金と白への色覚に伝達する処理は自身でも計り知れない無意識の世界です。深層心理に潜む色彩心理が「見え」を左右するのかもしれません。
「夢が叶う金」「内省の青」、色は心理状態を映し出す鏡
ドレスの形を認識すると、何かで表彰される場面などパーティーシーンのゴージャスなゴールド(金)が浮かび、画面でキラキラと輝く光の強さが相乗効果となって華やかな祝福の色に結びつくこともあるでしょう。
「金」は、豊穣の色、収穫の色、報酬を得る色です。そして目標が達成して夢が叶う色です。色彩の意味を受け取りたくて「白と金」に導かれたとも考えられます。では本来の青に見えた方。青は冷静に内省する色、そして堅実に判断し受け取るという色です。ある人は日によって、「青に見えたり金にみえたりする」と言います。その日の心理状態により変化しているのでしょう。
ドレスの色は、まさしく心理状態を映し出す鏡なのかもしれません。今日の「こころの色」に向き合ってみてはいかがでしょうか。
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