街の防災、言葉の壁を越えた取り組みを
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増える外国人の来訪者、災害時の支援対応に課題
法務省によると、2013年末の在留外国人の数は206万6,445人でした。また、日本政府観光局によると、昨年の訪日来客者数は、過去最高の1,341万4,000人。2020年オリンピック・パラリンピック東京大会開催に鑑みても、さらに外国人の来訪者が増えることが予測されます。
外国人は国によって防災に対する意識の相違があると同時に、言葉が通じないことにより、災害時の支援が難しいことが想定されます。
多言語対応のニーズに応える2つのツール
災害時に外国人を救護し安全を確保するためには、まず多言語への対応が必要です。最近、そのニーズに応えるツールが注目されている中で、今回、2つを紹介したいと思います。まず「外国人救急搬送シート」。これは、病気やけがの外国人を救急搬送する際に有用です。外国人は十分に言葉が通じないため、症状を伝えることが困難なケースが少なくありません。そこで、救急救命士が、名前や年齢など基本的な質問や症状などを尋ねる言葉を17か国語から選び、音声で流すというシステムです。安心感を与える呼びかけ文もあります。
次に、非常時の避難誘導などのアナウンスコメントを流せるメガホン「非常時多言語拡声装置」です。20か国語程度の言語に対応可能で、4か国語を選択して使用できます。約350パターンのアナウンスコメントが収録されており、簡単なタッチパネルで操作できます。例えば、「地震が発生しました。大きな揺れに備えてください」というコメントを、日本語→英語→中国語→韓国語の順で繰り返します。
各地で始まる「防災のグローバル化」
福岡市は、日本で初めてアジア消防長協会のアジア防災都市モデルに認定されており、国際化に対応した防災への取り組みが進んでいます。外国人にも安心な街を目指して、消防職員や防災に携わる職員の6割以上が、2か国語以上の外国語を学んでいます。災害時に使用される案内標識も多言語化されています。
また、仙台市は、平成24年の国連「世界防災キャンペーン『災害に強い都市の構築』」において、「ロール・モデル(模範)都市」に認定されました。防災の先進都市として、仙台国際交流協会では東日本大震災直後から、災害多言語支援センターを運営するなど、多文化に対応する防災事業に積極的に取り組んでいます。
さらに、先月、東京都では、外国人向けの防災訓練が実施されました。34か国の大使館職員や留学生ら約120人が参加し、応急救護や初期消火の訓練などを体験しました。
在留外国人が増加する今、災害時に外国人を「客」ではなく、生活を共にする「地域住民」として、防災・減災に関わってもらえるよう、日常から啓蒙活動を行う必要があると思われます。「自助」「共助」の精神は、世界共通で求められることなのです。
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