求人難で閉鎖が続く大都市介護施設の今後
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介護職員の不足は、今に始まったことではない

先日の新聞やテレビの報道において、介護施設の部屋はあるものの、働く介護職員が不足し、入居希望者を受け入れることができない現状が伝えられていました。高齢社会を迎え、介護施設の拡充が求められている今、介護施設の現状は予想以上に厳しい状態にあります。
介護職員の不足については、今に始まったことではありません。日曜日に配達される新聞の折り込み求人広告には、介護職員の募集が数多く掲載されています。以前から、求人を行っても十分な人材が集まらない状況に追い打ちをかけるかのように、昨今の景気回復で働く職員の離職も進んでいます。
介護の職場イメージとして、仕事がきつい・賃金が安いなどが先行しています。そのため、将来を介護の現場で働きたいと考える若い世代が減少し、両親も子どもを介護の学校や業界には進ませたくないなどの思いも垣間見えます。
大都市以外でも介護職員の不足は深刻化している
介護施設や介護サービス事業者は、決まった介護職員の人数が配置されないと、介護施設を開くことができなかったり、収入として得られる介護報酬が減額されたりします。また、介護の現場で人員が不足していれば、十分に介護職員の目が行き届かず、利用者が転倒するなどの事故につながり、介護職員への負担はさらに増大します。
そのため、介護施設によっては、部屋はあるものの利用者の募集を行わず、確保できている人材で運営ができるよう、介護施設の一部を閉鎖するケースが増えてきました。報道では大都市での介護職員不足がクローズアップされていますが、大都市以外でも介護職員の不足があり、そもそも介護職員として働ける人が少ない地方では、人材確保が深刻な状況です。
施設の方針によって今後の明暗は分かれてくる
それでは、今後の介護施設はどうなっていくのでしょうか。少子高齢化社会で家族による介護が受けられない環境もあり、現状は人口が多い大都市部の介護施設へのニーズは高く、入所まで数百人待ちという施設があるほどです。今後もこうした状況が続くことが予想されます。
一方、介護職員にとっては働く介護施設を自ら選べる状況にあります。介護職員の間で「あの介護施設で働きたい」という希望も聞こえてきます。このように職員からの人気を集める介護施設は、賃金が高額でないにも関わらず、職員の離職・入職が少なく、介護職員間でコミュニケーションを取り、問題解決には職場で取り組むなどの努力が見られ、働きがいのある職場になっています。
介護職員が定着すれば、入居者にも安心感があり、事故も少なく、サービスも充実して評判を呼びます。施設経営者にとっては、どのような介護施設を目指すのか、また日頃からどのような取り組みをするのかによって、今後の明暗がくっきりと分かれそうです。
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