地方で深刻な空き家問題、対策は?
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空き家の増加は、新たな社会問題の温床に
現在、日本の総住宅数から総世帯数を引いた、居住者のいない住宅が800万戸に達しようとしています。空室率にすると約14%になり、およそ7戸に1戸は空き家となっているのが実情です。
この空き家の増加は、管理がされていない住宅による景観の悪化、放置された空き家への不法侵入や放火など犯罪の温床、小動物や害虫などの繁殖やゴミの放置による衛生上の悪化といった新たな社会問題を引き起こしています。
老朽化が酷く再生困難な住宅を取り壊したくても「所有者や相続人の特定ができない」、「解体や固定資産税などの費用面で残存を選択する」などの事由で取り壊すことができないケースが少なくありません。
そこで、地方自治体の中には、空き家を適正に管理するための「勧告」や「命令」等を含んだ条例を制定し対策を立てているところもありますが、対処療法的であることが否めず、抜本的な解決にはつながらないのではないかと考えます。
人口減少下で必要数以上の住宅を新築すれば空き家は必然的に増加
首都圏などの大都市圏であれば、所有者が特定できた後は取り壊し更地にして新たな住宅用地としたり、リノベーションして賃貸や売買で活用したりすることも可能です。しかし、地方都市では、それが可能な地域と不可能な地域にはっきりとわかれます。過疎地域では、更地化やリノベーションをしても、それを再活用する人が少ないため、何もせず放置するのが最善策である場合がほとんどです。
また、地方都市でも県庁所在地などの中核都市圏では、マイホームの一次取得者をターゲットとした新築住宅の販売注力エリアとなっているケースがあり、それが空き家を増加させる一因となっています。
空き家対策は、空き家となった後の更地化や再活用を促すことも必要ですが、これ以上、空き家を増やさないようにすることも不可欠です。人口減少下では必要数以上の住宅を新築すれば空き家は必然的に増加しますし、新築着工数を抑制する動きがないと社会問題として常態化します。
県単位で、空き家を含めた不動産市場を総括的に捉えた対策を
地方の空き家問題対策は、市町村ごとに講ずるだけではなく県単位で総括的な都市形成計画の新案を講じることも重要です。コンパクトシティなどの人口減少を前提とした都市づくりを基盤とし、住生活基本法をより具体的に数値化して、住居地域の位置付けや総世帯数に対する住宅戸数の目標数値の設定等も講じる必要があるのではないでしょうか。
加えて、空き家を含めた不動産ストック市場を活性化させるための優遇税制の拡充や中古住宅流通に寄与する企業へのインセンティブを設けることも有効だと考えます。また、不動産ストック市場を活性化させるための不動産流通業に携わるプレイヤーの資質を向上させることも忘れてはいけません。
個人向け不動産コンサルティングのプロ
森田伸幸さん(森田コンサルティング事務所)
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