中高年の薬物依存、回復への道のり
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働く40代、50代の薬物依存が増加
覚醒剤を使用した疑いなどで逮捕された人気歌手のASKA容疑者は56歳。同容疑で福岡県の57歳の小学校校長、さらに神奈川県警の40歳の警察官が逮捕されました。現在、中高年の間で覚醒剤の乱用が広がっています。
NHKの番組「クローズアップ現代」でも特集されましたが、働く40代、50代が薬物に手を出してしまうきっかけとして、「仕事のストレス、職場の人間関係悪化、業務過多、仕事がうまくいかない、相談する人がいない」などの要因があり、栄養剤を補給するような感覚で薬物との最初の出合いがあるといいます。そして、仕事がはかどる、職場の人間関係不和が気にならなくなることで、知らないうちに覚醒剤やMDMA(合成麻薬)と気が付かず、薬に依存していきます。
薬物を繰り返し使用してしまうことで、やめようと思っても、やめられない体になってしまいます。薬物依存に関しては他の依存症とは異なり「薬物依存、アルコール依存の専門外来」の病院にかかる必要があります。しかし、残念ながら特効薬は存在せず、依存症を治す薬もありません。24時間、食事や行動を管理して生活をしていくことが、大切なステップになります。そして、認知行動療法やグループカウンセリングといった心理療法を、時間をかけて取り組んでいくことになります。回復への道のりは、決して簡単なものではありません。体をケアしながら、薬に頼ってしまいたくなる思いや感情、本能的な反応へと向き合っていくことになるのです。
回復には家族や専門スタッフ、地域や周囲の支援が必要
「わかっていてもやめられない」。そんな状況から「心からやめたくなる」という状況になるまで、たやすいプロセスではないことは理解していただけるでしょう。そして、薬物に関しては、脳の中の本能の部分まで刺激を受けるため、「意志の力」だけで克服することはできません。
一人の力だけでなく、家族、医師、心理士等の専門スタッフ、地域や周囲の支えや支援が必要です。だからこそ、家族や周囲の人も、適切な関わり方や捉え方を理解するため、認知行動療法のエッセンスを学ぶことがとても役立ちます。また、グループカウンセリング(自助グループ)に参加することで、自身の心のケアにもなるのです。
「薬物依存」で悩んでいる人に対して、各都道府県の精神保健センターが中心となって、本人への支援、家族への支援を積極的に行っています。一人で抱えることなく、また、近くの友人だけでなんとかしようとするのではなく、積極的に社会資源や専門機関を活用しながら、回復への道のりを歩んでいきましょう。
うつ病から企業を守るメンタルヘルスカウンセラー
毛受誉子さん(株式会社愛知心理教育ラボ)
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