ドキュメンタリー映画「徘徊」:認知症の母と娘の日々を描いた作品
今回取り上げた映画は精神障害者が芸術に取り組む様子を描いたドキュメンタリー映画「遠足」。
この映画はオーストリアのウィーンにある精神障害とともに生きながら、芸術を作り続ける無名の人たちのありのままの日々を撮ったドキュメンタリー映画です。
1950年代後半に、オーストリアのグギング村神経科病院の医師が治療実験として患者さんたちに絵を描かせていたそうです。やがて彼はその患者さんの中に芸術的才能がある人を認め、「芸術家の家」を創設し、そこで創作活動に当たってもらい、画家として経済的に自立した生活を送ってもらう試みを始めました。
芸術的な才能を見出された彼らが日々過ごす様子や、彼らの作品をプラハにあるチェコ国立ギャラリーに展示するために、プラハまで5人で4日間の「遠足」に出かけた様子を収めたドキュメンタリー映画です。
日本では、精神障害とともに生き、表現をすることを続けている方に草間彌生さんがいますね。彼女も病院に入院しながら近くにアトリエを借り、旺盛な創作活動を続けていることは有名です。少し前ですが大阪であった展覧会に私も行ってきました。圧倒的な迫力に感動しました。
それぞれ作品をつくるようになったきっかけや動機は違うかもしれませんが、人間と言うのはやはり自己表現せざるを得ない存在なのでしょうね。生きる、と言うこと自体が自己表現なのでしょうから。
淡々とした映像の中に、生きることの意味や幸せとは何か、などと考えさせられる映画でした。
そういえば先日取り上げた「ボディサイレント」(ロバート・マーフィー著)の中で、次のような文章がありましたが、やはり同感させられます。
“身障者が体現しているのは、余計な粉飾をとり除いた裸の人間性である、といってもよい”
身体障害にとどまらず、障害と言うものは、いやおうもなく私たちを「裸の生」そのものに向き合わせる体験なのかもしれません。
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