209【不動産投資】203続編  家賃5,500円の裁判。本当に約600万円事件になりました。福岡地方裁判所 令和8年(ワ)第●●●●号

竹下昌成

竹下昌成

テーマ:不動産投資 回収・調停・裁判


コラム209
家賃5,500円の裁判。本当に約600万円事件になりました。
福岡地方裁判所
令和8年(ワ)第●●●●号

■「契約違反ではないとお考えなら、ご説明ください。」

最初は質問だけでした

前回のコラム203では、

社員居住契約で貸していた部屋が、

マンスリーマンションとして運営されていることを発見したところまでを書きました。

ホームページ。

予約サイト。

販売パンフレット。

管理規約。

保険証券。

写真。

一つずつ確認しながら、

「これは同じ部屋だ。」

そう確信しました。






そこで私が送ったのが、

内容証明①です。

ただし、

最初から裁判を考えていたわけではありません。

契約解除もありません。

明渡請求もありません。

損害賠償請求もありません。

お願いしたことは一つだけです。

「契約違反ではないとお考えなら、ご説明ください。」

私は、

まず説明を聞こうと思っていました。

回答書で事件が変わりました

1週間後、

回答書が届きました。

「さて、どう書いてあるかな。」

そんな気持ちで読み始めました。

「あれ?」

契約当初から営業利用していたことを認めていました。


「これは計算をやり直そう。」

それまで私は、

私が客観的証拠を押さえた日から損害額を計算していました。

かなり控えめです。

ところが、

回答書どおりなら、

契約当初からになります。

私はExcelを開きました。

数字を入れ替えます。

......

約100万円。

請求額が増えました。

約600万円です。



私は、

マンスリー料金をそのまま請求しているわけではありません。

営業経費もあるでしょう。

そこで、

利用料金を大幅に減額し、

さらに受け取っていた家賃も控除しています。

私としては、かなり控えめな請求です。

請求額を増やしたのは、

私ではありません。

被告の回答書でした。

■内容証明②

私は内容証明②を書きました。

今度は質問ではありません。

契約解除。

建物明渡請求。

約600万円の損害賠償請求。

私としては、

最後の通告です。

ただし、協議の申し入れがあれば、

話を聞く余地は残していました。

正直、

ここで書面が届くと思っていました。

「少し話がしたい。」

「協議したい。」

そのくらいはあると思っていました。

約600万円をそのまま支払うとは思っていません。

協議の申し入れはある。

私はそう考えていました。

■やはり、そういう会社だったんですね

しかし、

ハッキリと拒絶する回答がありました。

「契約は有効、今まで通りの家賃を支払う、裁判になるならそこで主張していく」

少し意外だった反面、

どこかで納得した自分もいました。

家賃改定裁判でも、

被告は、

「裁判所でしか話さない。」

そんな姿勢でした。

今回も同じです。

内容証明①。

回答書。

内容証明②。

その回答書。

それでも、

協議申し入れはありませんでした。

私は思いました。

「やはり、そういう会社だったんですね。」

もちろん、

それも経営判断です。



私は、

協議を望まない以上、予定どおり提訴しました。

福岡地方裁判所
令和8年(ワ)第●●●●号

事件番号も付きました。

■私が考えていた本当のリスク

私が考えていたのは、

約600万円ではありません。

会社全体のリスクです。

例えば、

仮に判決が出て、

仮に任意に履行されなければ、

強制執行という手続があります。

もし預金を差し押さえることになれば、

銀行へ差押命令が届きます。

もちろん、

それだけで融資停止になるとか、

一括返済になるとは言いません。

しかし、

銀行は一つの事実を知ります。

「この会社は強制執行を受けた。」

そして、

私が銀行員なら、

もう一つ見ます。

「この経営者は、ここまで進むリスクを管理できなかった。」

という評価です。

私は、金額以上に、その経営姿勢を見ます。

信用は、

築くのは積み重ねです。

失うのは一瞬です。

「自社は許容しても被告と取引ある他社はどう見るだろうか?」

「今後の取引に変化は起こらないだろうか?」

私は銀行やリース会社での勤務経験から

どうしてもそう考えてしまいます。

約600万円という請求は、

会社全体への波及を止めるための、

協議の出発点とも言えたでしょう。

だから私は、

支払うかどうかは別として、

協議になると思っていました。

■裁判は公開です

このコラムを書いていると、

たまに聞かれます。

「裁判の話なんか書いていいんですか?」

もちろんです。

裁判は原則公開です。

ニュースになる裁判があるのも、

公開だからです。

民事裁判も同じです。

事件番号が付いた時点で、

私人同士の問題ではなく、

公の手続になります。

それ自体も、

会社にとっては一つのリスクです。

■AIと判決予想

今回も、

AIにもがっつり助けてもらいました。

訴状。

証拠説明書。

準備書面。

判例調査。

論点整理。

そして、

判決予想まで作成しました。

現時点での私の予想です。

■判決予想

契約違反認定 99%

契約解除有効 96%

建物明渡し認容 97%

仮執行宣言 85%

損害賠償 300万円~380万円が中心

もちろん、

答えを出すのは裁判所です。

だからこそ、

判決が出たら、

答え合わせをしたいと思っています。

AIはどこまで裁判を予想できるのか。

それも今回の見どころです。

本当になぜ、家賃5,500円だったのでしょう

コラム203では、

「500万円事件になるかもしれません。」

と書きました。

結果として、

回答書によって請求額は約100万円増え、

約600万円事件になりました。

私は、

請求額が増えたことより、

裁判まで進んだことの方が意外でした。

内容証明①。

回答書。

内容証明②。

その回答。

私は、

どこかで止まると思っていました。

しかし、

事件番号が付きました。

ここから先は、

裁判所に判断していただきます。

そして私は、

その判断に従って、

事務的に次の手続きを進めるだけです。

最後に一つだけ、

本当になぜ、家賃5,500円の増額を渋ったのでしょう!?

別件の無断転貸裁判の被告といい、よく分かりません・・・


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