203【契約違反】家賃5,500円の裁判→500万円の事件になるかも!?

竹下昌成

竹下昌成

テーマ:不動産投資 回収・調停・裁判


# コラム203
## 家賃5,500円の裁判が、500万円事件になるかもしれません

コラムでも何度か登場している、家賃改定裁判中の相手方、不動産会社L社。

争っているのは家賃5,500円です。

契約当初48,000円。

2025年、調停で54,500円。

現在は60,000円への増額を求めて裁判中です。

この部屋が空けば、管理会社からは「8万円前後で募集できるでしょう」という見立ての物件。

もちろん、新規募集賃料と継続賃料は別物です。

だから私は8万円を請求しているわけではありません。

お願いしているのは60,000円です。

それでもL社は、

「前回の調停から1年では早すぎる。」

「信義則に反する。」

と主張し、裁判になりました。

ここまでは家賃改定では珍しくありません。

問題は、その後でした。

---

## 2026年7月14日午後

裁判もそろそろ結審。

私はいつものように相手方を調べ直していました。

会社概要。
宅建更新9回 業歴45年以上 社長は2代目 60歳くらい

社長あいさつ。

「正しくありたい。」

いい言葉です。

社長は神社のボランティア活動。

社員が病気になっても雇用継続。

「いい会社じゃないか。」

そう思いながら読み進めていました。

社員紹介を見ると、本件契約の入居者も掲載されています。

営業部長かぁ、ちゃんと実在してる。


そこまでは何も違和感はありませんでした。

ところが、その下に書かれていた事業内容を見た瞬間、私の手が止まりました。

**「ウィークリー・マンスリーマンション運営」**

……

「やってるな、これ。」

見た瞬間、そう確信しました。

今回私が貸している部屋は、社員居住専用契約です。

社員が住むための契約。

営業目的で貸したものではありません。

もちろん、この時点では証拠はありません。

私は、その一行を見た瞬間に「特定作業」に入ることを決めました。

---

## 特定開始

まず開いたのは、ウィークリーマンション予約サイトです。

L社の掲載物件は44件。

一件ずつスクロールしていきます。

少し緊張していました。

そして、

「あった。」

見慣れたマンションの外観。



所在地も一致。

間取りも一致。

専有面積32.67㎡。

まだ、別部屋の可能性はあります。

私は管理規約と新築時の販売パンフレットを取り出しました。

32.67㎡の住戸を確認します。

**一室だけでした。**

---

## 決定打

私は募集内容を読み始めました。

貸主。

**L社。**

契約形態。

**定期建物賃貸借契約。**

思わず画面を見直しました。

私はL社へ部屋を貸している貸主です。

そのL社が、

今度は貸主として、

第三者と定期建物賃貸借契約を締結して募集しています。

料金は、

**176,800円。**

私との契約家賃は54,500円。

家賃改定でもさんざん「高い」と主張していたのに(笑)

---

## さらに証拠を固める

まだ終わりません。

管理会社へ電話しました。

オーナーチェンジで引き継いだ資料を確認してもらいます。

すると、

「マンスリー総合包括保険」

が出てきました。

しかも、

号室まで記載されています。

ここまでそろえば十分です。

さらに、

L社ホームページ。

予約サイト。

二つを並べます。

写真を拡大します。

見比べます。

……

「同じ写真やんけ!!」

ここまで堂々としているとは思いませんでした。

さらにホームページを見ると、

**博多40室。**

**天神46室。**

**合計86室運営。**

私は思わず笑ってしまいました。

「86室……。」

「その契約、全部どうなっているんだろう。」

もちろん分かりません。

私が問題にしているのは、私が貸している一室だけです。

---

## 同業者にも見てもらいました

念のため、付き合いの長い不動産会社数社にも確認してもらいました。

最初は皆さん半信半疑です。

「そんなことあります?」

契約書。

パンフレット。

ホームページ。

予約サイト。

一つずつ見てもらいます。

反応は驚くほど同じでした。

「これ、同じ部屋ですね。」

「L社が貸主になっていますね。」

「しかも定期建物賃貸借契約。」

「社員居住契約ですよね。」

「住居契約なら消費税は非課税ですが、事業利用なら話は変わりますよね。」

そして最後に、一人が笑いながら言いました。

「なんで家賃改定に応じなかったんでしょうね。」

本当に、その通りです。

もし60,000円で普通に合意していたら、この調査はありませんでした。

L社ホームページも見なかったでしょう。

予約サイトも開かなかったでしょう。

パンフレットも出さなかったでしょう。

保険証券まで確認することもありませんでした。

家賃5,500円を争った結果、500万円事件になろうとしています。

---

## さぁ、どうする?

まず、内容証明郵便を送りました。

「契約違反ではないとお考えなら、ご説明ください。」

説明の機会は設けるべきだと思ったからです。

現在は回答待ちです。

もっとも、回答はないか、あっても私が納得できる内容にはならないだろうと考えています。

この原稿を書いている2026年7月18日午前6時38分現在も、募集サイトには掲載されたままです。

運営会社L社。

貸主L社。

定期建物賃貸借契約。

月額利用料176,800円。

私は黙ってスクリーンショットを保存しました。


訴訟準備も、ほぼ終わっています。本人裁判にも慣れてきました。

解除通知。

建物明渡請求。

500万円損害賠償請求。

訴状。

準備書面5通。

証拠説明書。

証拠一式。

すべて完成しています。

あとは、L社からどのような回答が届くのか。

その最後の一手を待つだけです。

---

## 最初は家賃5,500円でした

きっかけは、家賃5,500円の裁判です。

気が付けば、

建物明渡請求。

500万円の損害賠償請求。

少なくとも私は、2026年7月14日の午後、L社のホームページを開いた時には、こんな展開になるとは思っていませんでした。

別件の無断転貸事件も同じ図式でした。家賃改定を渋って大問題が発覚。


L社にとっても、この問題が持つリスクは小さくありません。

他の物件への影響。

福岡という狭い不動産業界での信用。

差押えなどの法的手続き。

そして、必要に応じた関係機関への情報提供。

それらを考えると、改めて不思議に思います。

**なぜ、家賃5,500円の交渉に応じなかったのか。**

危機管理。

経営判断。

交渉姿勢。

今回の一件は、そのすべてが問われる出来事になりました。

L社社長の「信義則」に照らすと、どんな回答があるのか。

それも含めて、このコラムで一緒に答え合わせをしていきたいと思います。


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